TSR20年増収率ランキング 受注好調で建設業143社 トップは友和環境第三工場

[2021/09/11 栃木版]
 東京商工リサーチ宇都宮支店は10日までに、県内企業の成長力を示す2020年(1~12月)県内増収増益企業増収率ランキングをまとめた。売上高5億円以上の増収増益企業は408社(調査対象企業1338社)で、このうち建設業は公共工事の受注増などを反映し、前年に比べ7社減ったものの業種別トップの143社となった。企業別の増収率では、総合1位が友和環境第三工場(壬生町)の345.0%で、総合3位には建設業トップの大進電気工事(矢板市)の288.6%が入った。4位以下も電気工事業や鉄骨工事業などを主体に、建設業の6社がトップ10入りを果たした。
=2面に増収増益建設関連業者一覧
 建設業の総件数は、18年が143社、19年が140社、20年が143社と、過去3年間は業種別トップを維持する。製造業や販売業など他業種に比べ絶対数が少ない建設業だが、業種全体として全業種に占める20年の構成比は30.1%と、製造業や販売業を抑え1位となった。
 同宇都宮支店では「18年はオリンピック特需が継続し、19年は工場設備などの設備投資に加え、コロナウイルス感染症の直接的な影響を受けなかった建設業が順調に件数を伸ばし、20年は災害復旧工事の上乗せなど好要因が揃った」と分析。総合6位の小山工作所(小山市)も鉄骨工事業を営んでおり、20年の総合ランキングは建設業一色の感が強いとしている。
 建設業は経営規模が比較的小さいため、増収額が伸び率に与える影響は一般的に大きいとされるが、19年はオリンピック特需の陰りを、年終盤の東日本台風による災害復旧工事で払拭した。
 建設業の業種別売上高は、前年比で395億0714万円減と13.6%のマイナスとなった。また、1社当たりの増収額についても1億6479万円の減額となっている。件数でトップの建設業だが、売上高の2285億5159万円は4業種の中でその他に続き2番目に低く、比較的規模の小さな企業が大型案件を受注したことで増収率が大幅にアップし、ランクインにつながるケースが多い。金額の上下が大きい建設業は、増収率ランキングにおいて有利な数値を示す傾向があるとしている。
 総合ランキングトップの友和環境第三工場は、結南クリーンセンター(茨城県結城市)を中核とする「ゆうなんグループ」の1社で、壬生町の工場で破砕・選別・切断などの産業廃棄物中間処理を手掛ける。19年5月の施設本格稼働を通年反映したことで、増収率につながった。
 総合3位の大進電気工事は、古くから電気工事業を手掛けている企業で、民間工事のほか矢板市発注の公共工事でも多くの実績を残す。例年に比べ大型工事案件の受注が重なり、増収率アップを果たした。
 総合4位の協新電工(宇都宮市)は、戦後間もなく創業した老舗の電気工事業者で、県や宇都宮市発注の公共工事のほか学校・病院・商業施設など安定した受注基盤を構築。例年6~7億円台の売上高を計上していたが、前年は繰越の影響で2億円台に止まり、その反動が増収率285.1%に反映した。
 総合6位の小山工作所は、鉄骨加工と鉄骨工事を手掛けており、案件の特殊性に起因し設計段階から案件に携わることも多い。20年は例年に比べ、大型案件の受注消化が多く、増収率を227.3%に伸ばした。
 総合7位の須賀製作所(栃木市)は、半世紀以上の歴史を有する鉄骨工事業者。大型倉庫や工場などの民間設備投資の大型案件が重なったことで、増収率217.4%を達成した。
 総合8位の斉藤建設(日光市)は、土木工事主体の総合建設会社で、創業地の旧栗山村地区に受注基盤を形成。竣工状況などの影響で前年は2億円台後半になったが、反動で6億円台に回復し増収率も215.3%となった。
 総合9位の金澤建材(大田原市)は、建材業をルーツとし、現在は土木工事など建設事業に集約。大型工事竣工などで完工高を13億円台に乗せて、増収率203.8%を達成した。
 総合10位の間島電設は、地区中堅上位の電気工事業者。民間工事を主体に工場・店舗・各種施設の電気設備工事を手掛け、2億円超の大型複数案件竣工が増収率195.9%につながった。
 総合トップテンからは外れたものの、業種別で7位に付けた栃木鋼業(栃木市)はМグレード工場を運営する鉄骨建築業者。民間工場やディーラー店舗など大型案件をこなし、増収率193.7%を達成した。総合順位は11位。
 業種別8位の長嶋組(宇都宮市)は、旧上河内町地区上位の土木工事業者。1億円超の大型案件竣工のほか、ミドルクラスの案件も複数消化しており、増収率193.4%となった。総合順位は12位。
 業種別9位の前田電設(那須塩原市)は創業以来、電気設備工事を中心に展開。対象年度は堅調な受注に支えられ、増収率191.0%を達成した。総合順位は13位。
 業種別10位のKANNO(那須塩原市)は、05年7月の設立で地区後発の総合建設工事業者。牧場や畜産関連の特色を生かして基盤を形成し、豊富な案件を消化して増収率186.8%を果たした。総合では15位となっている。

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