鳴瀬川水系の整備計画変更案 追加河道掘削を明記 吉田川中流部に遊水地整備(東北整備局)

[2022/3/24 宮城版]

河川整備計画の見直し案について有識者と議論した

河川整備計画の見直し案について有識者と議論した

 東北地方整備局は22日、鳴瀬川水系河川整備計画の変更案を示し、有識者と協議した。2019年の東日本台風で支流の吉田川が決壊したことなどを踏まえ、目標流量や河道流量を引き上げた。整備内容には、新たに鳴瀬川で追加河道掘削、吉田川で中流部遊水地の整備と追加河道掘削を進めることを明記した。今後にパブリックコメントを経て、6~7月ごろの計画策定を目指す。

 変更案は、22日に仙台市内で第20回鳴瀬川水系河川整備学識者懇談会(座長・田中仁東北大学大学院教授)を開いて示し、委員から了承を得た。ウェブも活用した懇談会には田中座長ら10人の委員が出席した。

 開会のあいさつで同局の國友優河川部長は、気候変動の影響を踏まえて全国的に河川計画の見直しが進められていることについて触れ、「特に河川の計画は基本方針と具体的に実施する整備計画の2階建て構造になっているが、全国で先行している水系は基本方針の見直しも順次進めており、いずれ遠からず東北地整の12水系も基本方針自体を気候変動対応というものに変えていくことになる」との見通しを示した。

 鳴瀬川水系に関しては、方針の見直しに先立って整備計画自体を気候変動対応に見直すこととし、有識者に審議してもらうことにした。特に吉田川は近年立て続けに大きな水害が起きており、床上浸水対策特別緊急事業や大規模災害関連事業を進めている。鳴瀬川本川は鳴瀬川総合開発事業でダムの整備を計画している。

 こうした経緯を説明した上で國友河川部長は「そういった今の(事業で)整備を進めていっても今後増える雨に対応していけないということで、さらにどういった河川の整備を新たに進めていくべきかを事務局案として提示させていただく」と述べ、意見を求めた。

 変更の主な内容は、河川整備計画の目標に関し、吉田川は2019年東日本台風と同規模の流量、鳴瀬川は気候変動を考慮した流量(現行の河川整備計画で設定した雨量の1.1倍)を目標として、見直した。

 具体的には、目標流量を鳴瀬川の三本木地点で毎秒3400立方mから「3800立方m」、吉田川の落合地点で同1700立方mから「2000立方m」に変更。河道流量に関しては、鳴瀬川の野蒜地点で同4100立方mから「4400立方m」、野田橋地点で同3300立方mから「3600立方m」、三本木地点で同2800立方mから「3200立方m」、吉田川の落合地点で同1300立方mから「1600立方m」にそれぞれ引き上げた。

 整備内容については、現在進めている河川整備計画の事業が完了した状態に、今回目標とする気候変動に対応した流量が流れ込んできたと仮定して計算したところ、計画高水位を超過する結果となったため、新たな河道掘削などを追加した。

 具体的には、鳴瀬川は現在の2800tから3200tまで河道を広げるため、追加で河道掘削を行うこととし、概算事業費に約197億円を試算。吉田川は中流部遊水地の整備と追加河道掘削を行うこととし、概算事業費に263億円を試算。追加掘削では現在の1300tから1600tの河道に広げる考え。

 これらの整備スケジュールは、吉田川の中流部遊水地が2026~36年度、両川の追加河道掘削が37~50年度に行うこととした。なお、25年度ごろに現在進めている大規模災害関連事業、36年度ごろに鳴瀬川総合開発のダム事業が終わる予定になっている。

 計画ではこのほか、想定最大規模の洪水が発生した場合、河川整備計画の完了後も浸水被害が発生することが想定されるため、流域全体で水害を軽減させる「流域治水」への転換を進めることが必要とした。

 今回の変更に関し田中座長からは「計画の順番からいえば、まず先に基本方針から決める(変更する)のではないか」という質問が出された。

 これに対し同局は、河川整備方針の流量を超えてしまっている阿武隈川などから先に流域治水対応型の新たな方針を検討していると明かしつつ、吉田川は東日本台風でも方針の流量までは超えておらず、次に実施する事業も目前に迫っているため、そちらを優先して先に整備計画を見直すと説明した。

 ただし、今後に方針も見直すことで、さらなる流量の増が必要になる可能性もあるため、今回計画に盛り込んだ吉田川中流遊水地などは方針の見直しに合わせて、詳細な規模などを再検討していくことも想定されるとした。

 今回の変更案に関しては今後、4~5月にパブリックコメントを実施し、その意見を反映させた上で5月末開催予定の次回有識者会議に最終案を示し、さらに関係機関の意見も踏まえて6~7月ごろの正式策定を目指す。

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