中橋で下部工1基 新年度の事業概要 河川31億、砂防19億円(渡良瀬川河川)

[2022/4/7 栃木版]

 国交省渡良瀬川河川事務所は、2022年度の事業概要を明らかにした。河川事業では、佐野市高山地区や足利市野田町地区などで堤防嵩上げを実施するほか、足利市の中橋は県や市と連携し、堤防の嵩上げと架け替えに向け橋梁の下部工1基を実施する。日光市の砂防事業は、松木川一号堰堤の改築や松木山腹工(畑之沢・大畑沢)、仁田元川砂防堰堤改築などを計画。このほか、足利市のかわまちづくり計画と連携し、五十部地区で階段や坂路を整備する。本県と群馬県を合わせた全体事業費は、対前年度比16.4%減の28億0600万円で、これに21年度補正をあわせると50億7100万円となる。

 本年度の事業のポイントには▽治水対策の推進▽魅力ある河川空間の創出による地域活性化への取り組み▽安全性を持続的に確保するための維持管理▽砂防事業の推進-を位置付けた。

 本年度の河川事業費は17億0800万円で、21年度当初(22億5400万円)から24.2%の減。これに21年度補正(14億4700万円)もあわせ、31億5500万円を執行する。内訳は、河川改修費が5億9900万円(補正を合わせ18億8700万円)で、このうち1300万円は特定構造物改築事業に充てる。河川維持修繕費および河川工作物関連応急対策費は11億0900万円(同12億6800万円)。このほか、総合水系環境整備事業費が1000万円となった。

 砂防事業費は10億8800万円で、21年度当初(10億9900万円)とほぼ同規模。補正を合わせると19億0600万円で、内訳は直轄砂防事業費が7億1900万円(同12億7900万円)、直轄火山砂防事業費が3億7000万円(同6億2800万円)となっている。

 主な事業を見ると、渡良瀬川下流一般河川改修事業では22年度、佐野市高橋町地区や足利市野田町地区の渡良瀬川の堤防嵩上げなどを実施する。堤防の高さや幅が不足する弱小堤防区間の早急な対策が必要なことから、渡良瀬下流の堤防強化などによる河川改修を実施し、治水安全度の向上を図る。

 また渡良瀬川下流一般河川改修事業の21年度補正分では、佐野市高橋町地区や足利市野田町地区、板倉町西岡新田地区における堤防嵩上げなどを計画。流域治水対策を推進するため、重点的・集中的に築堤(嵩上げ・拡幅)、高水護岸整備などを実施し、早期に地域の安全性の向上を図る。

 渡良瀬川上流特定構造物改築事業では、足利市で主要地方道足利千代田線が渡良瀬川を渡河する中橋の架け替えを推進する。中橋が架かる渡良瀬川35.2キロ付近の堤防は必要な高さや幅が不足し、早急な対策が必要。また、中橋の桁下高の不足や老朽化から、堤防の嵩上げと合わせて中橋の改築を実施し、治水安全度の向上を図る。22年度は、橋梁下部工1基などを予定する。

 渡良瀬川河川維持修繕事業は、堤防除草・河川巡視や河川管理施設の維持管理を引き続き実施するほか、21年度補正分で桐生市元宿町地先などでの河道内の樹木伐採などを実施する。堤防除草で目視点検の精度向上につなげ、イノシシの掘り起こしによる堤防損傷箇所を補修するとともに、流水を阻害する河川内の樹木伐採を積極的に実施して出水時の安全を守る。

 利根川総合水系環境整備事業(渡良瀬川)は、足利市の「かわまちづくり計画」に基づき、盛土により造成した堤防天端の平場を民間事業者が活用するため、坂路など施設整備を行い賑わいの創出、地域活性化を図る。21年度は足利市五十部地区で、階段や坂路の整備を実施する。

 利根川水系砂防事業(渡良瀬川)は、砂防設備などを整備して下流河川の土砂・流木流出に伴う洪水・土砂氾濫被害の防止・軽減を図るもの。渡良瀬川流域は、足尾鉱山の煙害や山火事で足尾地区の山腹斜面が荒廃裸地化し、また赤城山の火山性の地質に由来する荒廃地が広く分布しており、土砂生産や流出が非常に活発で土砂災害が起こりやすくなっている。

 本年度は、日光市で松木川一号砂防堰堤改築などと、群馬県みどり市で花輪床固群などの事業を予定するほか、補正予算で日光市の松木山腹工(畑之沢・大畑沢)、仁田元川砂防堰堤改築、松木川上流堰堤群改築、出川床固群などと、群馬県みどり市における花輪床固群などを実施し、基礎的インフラを保全する土砂災害対策を加速化させる。

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