大日橋など架け替え 豊穂川の排水対策 ポンプ場、調整池整備も(小山市)

[2022/4/15 栃木版]

 小山市は一級河川豊穂川で流域排水強化対策事業を進めており、2025年度までに事業を完了させる見込みだ。市治水対策課や上下水道施設課によると、河道拡幅や築堤のほか、大日橋・新川橋・大行寺橋の架け替えを計画。雨水ポンプ場や調整池の整備も行うとしており、小山栃木排水路では放水路の整備、立木排水路では調節池の整備を予定。河道拡幅・築堤については本年度から工事に着手する。

 市では、15年9月の関東・東北豪雨で被害を受けた豊穂川流域などの排水強化事業を進めている。豊穂川は19年度に国交省から、上流の大日橋(立木地内)から下流の一級河川思川との合流点(大行寺地内)まで、約1260mが一級河川に指定された。19年に発生した東日本台風で再び浸水被害が発生し、国交省の浸水対策重点地域緊急事業に採択され、完成工期を25年度まで前倒している。

 市は、豊穂川の排水強化対策事業として▽河道拡幅▽築堤▽橋梁の架替え-を計画している。豊穂川整備の予備設計および詳細設計は、大日本コンサルタント(東京都豊島区)が担当した。

 豊穂川の整備区間は、思川合流部から大日橋上流約200m北の約1400mとし、河道拡幅のほか築堤を行う。築堤は天端幅5m・堤高1.2mで、思川堤防堤と同じ規格で整備する。

 河道拡幅・築堤は、河道内樹木の伐採、工事用仮設道路の整備を22~23年度に実施し、非出水期の10月ごろから27年度まで大日橋下流右岸側から築堤工事を実施する。左岸側道路の舗装は24~25年度、豊穂川排水樋門撤去工事は25年度に実施する計画。河道拡幅・築堤は、用地取得が完了した箇所から順次工事を進めていく。

 橋梁は、市道257号線が渡河する大日橋(2009年度建設、RC橋、延長20m、幅員9.75m)、一般県道小山結城線が渡河する新川橋(延長28.5m、幅員6m)、市道1179号線が渡河する大行寺橋(1961年建設、RC橋、延長15m、幅員2.8m)の架け替えを計画する。

 県管理の新川橋は、河川法の規定で市が架け替えを行うこととなっていたが、架替工事、調査・測量・設計を県に委託するため、「一級河川豊穂川における浸水対策重点地域緊急事業の業務委託に関する基本協定書」を締結し、市は県に費用を負担する。費用分担按分調書によると、新しい新川橋は延長67m・幅員11.5mで、形式は鋼1径間鈑桁橋の逆T式RC橋台。左岸取付道路は延長165.5m・幅員11.5m、右岸取付道路は延長150.5m・幅員11.5mとする。

 大日橋と大行寺橋は、市が主体で整備を進めていく。大日橋は富士コンサルタンツ(宇都宮市)に業務を委託して詳細設計を実施し、大行寺橋は地質調査を終えてから詳細設計に着手する。

 本年度は2橋ともに用地取得や補償交渉などを進めるほか、補償調査や用地測量を実施。22年度に現橋撤去から着手し、22~24年度に下部工、23~24年度に上部工、24~25年度に取付道路整備工事を行うとしている。

 大日橋は、現在の橋と同じ位置に架け替え、幅員は現在と同じ9.75mにする。取付道路も、現在と同じ幅員(右岸側9.75m、左岸側7.5m)を確保。なお工事期間中は、迂回路の設置を検討する。

 大日橋の整備では▽桁の高さを低く抑える▽周辺道路への影響を考慮し施工期間が短い工法を採用▽工事の音や振動が少ない工法を採用▽現在の橋と同様のコンクリート製桁を検討-を行う。

 大行寺橋は、現在の橋と同じ位置に幅員5mで架け替える。取付道路も、現在の4mから5mに拡幅。橋梁への道路は斜路とするが、自転車や歩行者の利用を考慮して勾配を緩くする(5%以内)。

 下水道事業では、雨水管渠(φ2200×L166m、φ1200×L519m)を着工したほか、大行寺橋の南から思川への合流点(思川緑地)までの2万4100平方mで、雨水ポンプ場や調整池を整備する。雨水ポンプ場は大行寺橋の南へ、毎秒1.5立方mの能力の施設を整備する。調整池は、ポンプ場の南に隣接するように、3万立方mの容量の施設を整備する。

 調整池は22年度に設計、24~25年度に工事を実施する。ポンプ場は設計を日本下水道事業団に業務を委託して、日水コン(東京都新宿区)が受託しており、工事は23~25年度に行う。

 準用河川に指定された小山栃木排水路も、整備を実施する。事業区間は、島田地内の思川合流部からJR両毛線交差部付近の延長700m。既存の排水路が分岐する区間で、思川堤防を通過して思川へ流れ込む区間を放水路として整備する。分岐箇所で分水路1基を新設し、分岐箇所の近くにある橋梁も架け替え、思川堤防を通る箇所に樋門を設置する。日常時には水門で閉鎖し、既存水路の水位が上昇した時に水門を開放して水を排水する。

 整備区間は、河道断面を高さ1.7m・水面幅3.8m・河床幅2.5mから、高さ2m・水面幅10.2m・河床幅6mに拡幅する。堤防は河川幅29mとし、1.1mを築堤する。今後は、22年度に予備設計や詳細設計を実施し、23年度に用地測量、用地買収、物件補償を行って、24~25年度に工事を行う。

 22年度に準用河川に指定を予定している立木排水路(立木地内)は、調節池の整備を計画している。整備箇所は主要地方道栃木小山線沿いで小山建設業協同組合の近隣に計画し、規模は2万4000立方mとしている。22年度に地質調査や予備設計、23年度に詳細設計を実施し、24年度に用地測量、用地買収、物件補償を行って、25年度に工事を行う。

 このほか、田んぼダムの整備も進めている。計画面積は1100ha(3600カ所)で、20年度までに406ha(1844カ所)で取り組みが完了している。市は土地改良区や農家の協力を得ながら、25年度までに完了を目指すとしている。

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