来年夏から改修着工 子ども総合科学館 大規模改修や長寿命化改修(県こども政策課)

[2022/4/19 栃木版]

 県こども政策課は子ども総合科学館(宇都宮市西川田町567)の大規模改修で、基本設計書をまとめた。コンセプトを「未来に生きる自分を想像/創造する」と設定し、展示物を未来社会の状況をイメージできるよう見直すほか、プラネタリウムを最新のものに更新する。このほかバリアフリートイレの新設など、利用者の利便性に関わる設備の更新などを実施する。本年度は実施設計を策定して、工事は2023年度の夏頃にも着工。また、プラネタリウムの設計・工事や長寿命化工事は、同年度の冬頃の開始を予定する。これらの工事を3カ年で実施して、25年秋のリニューアルオープンを目指す。

 県子ども総合科学館は1988年に開館し、20年度末までに延べ1606万人が訪れる人気の施設。一方で、開館から33年が経過したことで一部の展示物や設備は陳腐化しており、また、老朽化に伴う不具合の発生や修繕のための部品の調達が困難などの理由で、利用中止を余儀なくされている状況にある。

 この間、社会・経済環境は著しく変化する中、最新の科学技術を反映させて子どもの好奇心をかき立てる施設であることなどに配意して改修することが必要だとして、県は21年12月に改修に向けた「基本的な考え方」を策定。また、公募型プロポーザルで選定した乃村工藝社(本社・東京都港区)に委託して、改修に係る基本設計書をとりまとめた。

 科学館は敷地面積が16万7585.42平方mで、建物面積は6258.44平方m(庇・ピロティを含めると7121.79平方m)。建物(本館)はSRC造地上2階建て、延床面積1万0000.44平方mの規模で、プラネタリウムを内包し屋上には天文台を設置している。屋外には、乗り物広場や遊びの広場、冒険広場、水の広場、催し広場、風の広場、駐車場などを配置している。

 施設は開館後30年以上が経過して、特に展示物やプラネタリウムといったハード面を中心に全体的な老朽化・陳腐化などが認められる。一方で、年月を経ても変わらず親しまれているものや、補修のみで済むものもある。館の管理は、2006年4月から指定管理者が行っており、現在の指定管理者はとちぎ未来づくり財団。指定期間は19年度から28年度までとなっている。

 展示場の現状は、面積の広さに対し案内サインの数が少なく、利用者が展示場のどこにいるのか分かりづらい状況。プラネタリウムは設備の老朽化で、機能面や管理面の課題がある。そのほか、トイレや授乳室など、利便性の点で課題のあるものがある。

 これらを踏まえ、改修後に30年程度供用することを前提に、基本コンセプトを「満足感」×「とちぎらしさ」×「利用者目線」×「持続可能性」と位置付けた。改修に当たっての展示・活動のコンセプトは「未来に生きる自分を想像/創造する」を設定している。

 改修内容は、展示場については展示テーマを見直し、「くらしゾーン」や「環境ゾーン」など7つのゾーンを設ける。体験型を基本とし、AIやARなど新たな技術を活用するほか、1階の各ゾーンに大型のシンボル展示物を配置し、ダイナミックさを演出する。

 プラネタリウムは設備を最新の機能的なものに更新し、リニューアルのもう1つの目玉にふさわしいものに改修する。そのほか、トイレの洋式化やバリアフリートイレの新設、授乳室の設備更新、基本内装の改修、館内サインの更新・拡充、屋外テラスの床面補修などを行う。

 屋外施設は屋内と同様にトイレの改修を行うとともに、遊具の新設やミニ機関車の線路の一部修繕、風力発電設備の撤去、太陽光発電設備の新設、インターロッキングの一部修繕を行う。

 スケジュールは、本年度に実施設計を策定し、23年度の夏ごろから展示物などの工事を実施する。プラネタリウムは、24年の年明けごろから設計・工事を開始する見通し。あわせて改修事業とは別途に、長寿命化工事、特定天井工事および省エネ改修工事(照明のLED化)を予定しており、実施設計を本年度に策定して、工事は24年の年明けごろから実施する。これに伴い、同時期から施設は休館する。

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