17カ所に40億5500万円 本年度事業概要 稲荷川の山腹工など(日光砂防事務所)

[2022/5/10 栃木版]

 国交省日光砂防事務所は、2022年度の事業概要を公表した。本年度は堰堤工10カ所、床固工2カ所、山腹工5カ所の計17カ所で事業を計画し、事業費は当初予算と補正予算をあわせ対前年度比4.6%増の40億5500万円を計上する。本年度は重点的に、稲荷川山腹工や華厳上流砂防堰堤整備事業、大谷川床固群整備事業、および高徳地区砂防堰堤群整備事業を実施する。

華厳上流や高徳で砂防堰堤工

 同事務所の管内は世界有数の観光地となっている一方、急峻な地形と日光火山群からなる脆弱な地質、厳しい気象条件で荒廃が著しく、過去度々大規模な土砂災害が発生して大きな被害をもたらしてきた。さらに近年は土砂災害が激甚化・頻発化しているなか、土砂災害から地域を守り安全・安心な社会を構築するため、砂防堰堤や山腹工などの整備を進めている。

 本年度の予算は、当初予算が30億7700万円で前年度から4.6%減少したものの、補正予算は9億7800万円と前年度から50.5%増加し、合計では前年度を1億7900万円、率にして4.6%上回る。

 主な事業を見ると、大谷川流域については上流部が火山地帯のため急峻な地形や脆弱な地質で形成されており、多数の崩壊地が存在していることから、大規模な崩壊地を抱える渓流で土砂流出の抑制を図るため砂防堰堤や山腹工の整備を促進し、市街地や観光資源、重要交通網を保全する。また、老朽化した砂防堰堤の改築などによる補強・保全を実施し、砂防施設の機能維持を図る。

 具体的には、稲荷川山腹工整備事業や華厳上流砂防堰堤整備事業、大谷川床固群整備事業などを実施する。

 稲荷川山腹工整備事業は、鬼怒川支川稲荷川の源頭部に大鹿落しをはじめ多数の大崩壊地が存在し、土石流で甚大な被害が発生しているため、稲荷川下流の日光市街地および世界遺産「日光の社寺」などへの土砂災害の防止を目的に山腹工の整備を引き続き実施する。

 華厳上流砂防堰堤整備事業は、大谷川上流域が日光火山群に位置し、火山性の脆弱な地質で形成されているため荒廃が著しく、大谷川で土砂災害が発生すると下流の日光市街地や世界遺産「日光の社寺」などに甚大な被害が生じる恐れがあることから、土砂災害の防止を目的として砂防堰堤の整備を実施している。

 大谷川床固群整備事業は、鬼怒川支川大谷川で床固群が昭和初期から整備され、1996年からは魚道工が設置されているが、この老朽化した床固工や魚道工の改築を行い機能を維持することで、土砂災害から地域住民の生命および財産を守り地域交通網を保全する。本年度も引き続き、床固工や魚道工の改築を実施していく。

 鬼怒川本川の上流部も、大谷川と同様に多数の崩壊地が存在しており、山間部に点在する集落の災害時の交通網寸断による孤立化防止などのため、砂防堰堤や山腹工の整備を進める。また、老朽化した砂防堰堤の改築などによる補強・保全を実施し、砂防施設の機能維持を図る。

 このうち高徳・小佐越地区は、土石流危険渓流に指定された渓流が多数存在する地域であり、土砂災害警戒区域には多数の人家や重要交通網の国道121号があることから、地域住民の生命・財産を守り国道121号を保全するため、高徳地区砂防堰堤群整備事業で砂防堰堤および管理用道路の整備を実施する。

 男鹿川流域は、各渓流に2015年9月の豪雨災害で流出した不安定土砂や流木が多く堆積しており、災害時の交通網寸断による山間部の集落の孤立化防止などのため、砂防設備の整備を進める。また藤原地区も、土砂災害から住民の生命・財産を守るとともに、交通網寸断による孤立化防止や避難経路確保のため、砂防堰堤の整備を進める。

 本年度の流域別の事業箇所は次の通り。
【大谷川】
▽馬返山腹工(日光市細尾町)=山腹工
▽稲荷川山腹工(日光市日光)=山腹工
▽華厳上流砂防堰堤(日光市中宮祠)=砂防堰堤工
▽大谷川流域施設改築(日光市日光)=砂防堰堤工
▽大谷川床固群(日光市所野)=床固工
【鬼怒川】
▽ワミ沢山腹工(日光市上栗山)=山腹工
▽鬼怒川流域施設改築(日光市川俣)=砂防堰堤工
▽野門沢砂防堰堤(日光市野門)=砂防堰堤工
▽高徳地区砂防堰堤群(日光市高徳)=砂防堰堤工
【男鹿川】
▽芹沢床固群(日光市芹沢)=床固工

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