教育会館付近まで整備 LRT西側区間 400億円で26年着工へ(宇都宮市)

[2022/8/18 栃木版]

 宇都宮市と芳賀町が進めているLRT整備事業について、このほどJR宇都宮駅西側の整備についての考え方が示された。駅西側は、県教育会館(駒生1-1-6)付近までの延長約5kmを整備する方針で、2026年内にも着工し30年代前半の開業を目指す。概算事業費は、約400億円を試算している。さらに西側区間については、大谷観光地付近までの延伸を今後も検討するとしている。

 市は、JR宇都宮駅西側のLRT整備について、桜通り十文字付近からの延伸に向けて[1]桜通り十文字付近(延長約3km)[2]護国神社付近(延長約4km)[3]宇都宮環状線付近(延長約5km)[4]東北自動車道付近(延長約6.5km)[5]大谷観光地付近(延長約8km)-の5案を検討してきた。

 ネットワーク型コンパクトシティ(NCC)の形成にあたり、市東部の地域拠点・産業拠点のゆいの杜地区と、市西部の地域拠点の城山地区、観光拠点の中核である大谷観光地付近までの東西の拠点をつなぐ公共交通の機軸を構築する必要があることから、市は大谷観光地付近までをLRTの検討区間に設定した。

 また、NCC形成の効果を早期に発現させるため、効果的な都市拠点の形成や広域的な交通ネットワークの構築、安心して通勤・通学できる環境整備による利便性の向上、既存道路を活用した折り返し運行施設の確保が可能な区間として、宝木町1丁目・駒生1丁目付近(教育会館付近)までの延長約5kmを整備区間に設定した。

 西側の主要な停留場は、公共交通の結節、拠点エリア、教育施設などの集積を踏まえ▽JR宇都宮駅西口▽二荒山神社付近▽東武宇都宮駅付近▽桜通り十文字付近▽護国神社付近-に配置。その他停留場については、民間開発などを踏まえて引き続き検討を進めるとしている。

 大通りの道路空間については、円滑な交通確保やウォーカブルなまちづくりとして、ゆとりある歩行空間の確保を検討。概算事業費は、駅西側特有の地下埋設物の状況を考慮し、400億円を試算した。今後は詳細設計で具体的な検討を行い、軌道事業の特許申請に向けて概算事業費を算出する。スケジュールについては、このあと軌道運送高度化実施計画の策定に必要な各種調査・検討、関係機関との協議・調整を進め、24年以内に軌道事業の特許申請、26年の工事着手、30年代前半の開業を目指す。

 交通結節機能について、東武宇都宮駅付近や桜通り十文字付近は、歩行環境やバス待ち施設などを充実させる。東武宇都宮駅付近ではこのほか、交通結節機能の高度化を図るため、周辺の民間開発などと連携した将来的な施設整備も視野に検討を進める。乗継ポイントとなるバス停は、待合施設などを充実させるとした。

 都市拠点の形成促進において、都市機能の強化に向けては、LRTが通る大通りを中心に立地適正化計画に基づく誘導策の充実、都市機能の誘導や壁面後退による歩行空間の確保など、まちづくりに貢献する民間開発に対する新たな事業費支援などを検討する。桜通り十文字付近から教育会館付近までのLRT沿線でも、利便性向上につながる機能の立地誘導策を充実させ、幹線バス沿線でも沿線地域の特性に応じて居住の誘導を促進させる。

 JR宇都宮駅西側のLRT整備による経済波及効果については、LRT整備のほか、民間開発事業(マンション等の建設)、LRT整備や民間開発による関連産業の需要増加、市内各産業の需要増加など、810億円程度の効果が得られると試算している。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.