県央浄化センターを増設 事業経営評価委員会 経常収支など未達に(栃木県流域下水道)

[2022/9/3 栃木版]

 県流域下水道事業経営評価委員会(委員長・前橋明朗作新学院大学経営学部長)が1日に県庁で開かれ、経営戦略に基づく2021年度の達成状況と22年度の取り組み内容が報告された。成果指標9項目のうち7項目は目標値通りもしくはそれを上回る実績を収めたものの、経常収支比率と企業債残高は目標を達成できなかった。県都市整備課では本年度、思川浄化センターの増設工事を完了させるほか県央浄化センター増設の土木工事を実施。老朽管渠の調査・点検は一巡目を完了させ、間々田中継ポンプ場では耐震補強工事を実施する。

 議事に先立ち、県都市整備課の屋代紀明課長は「経営戦略の進捗管理で設定された9つの成果指標について、21年度の取り組みの実績について審議していただく」と説明し、委員の忌憚のない意見を求めた。その後は前橋委員長を議長に、経営戦略の達成度評価について審議した。

 9つの指標のうち、「処理場の処理能力」については目標値を達成。21年度は将采の流入水量増加に対応するため、思川浄化センター水処理施設増設工事(土木工事)が完成した。

 「老朽化した幹線管渠の調査・点検」は、目標値の80%を6ポイント上回った。21年度は6処理区で合計30.6kmの調査・点検を実施し、これにより1巡目(18年度~22年度)の対象管渠130.4kmのうち、累計111.8kmの調査・点検が完了している。

 「改築・更新を実施した主要設備数(累計)」も、目標値を達成。21年度は、県央浄化センターで汚泥処理設備の機械・電気設備を更新している。

 「幹線管集の耐震化率」は、目標値の45%を6ポイント上回った。21年度は、重要な幹線管路の耐震化工事(マンホールと管渠接続部の可とう化)を39カ所実施。「中継ポンプ場・処理場の耐震化率」も、21年度は間々田中継ポンプ場の耐震補強工事(土木・建築)を実施して、目標値を達成している。

 「再生可能エネルギー導入等によるCO2削減量」は、消火ガス発電機の適正運転に努めて目標値を達成。「下水汚泥の有効利用率」は、下水汚泥等をコンポストやセメントの原料にできる処理先に般出するよう努め、82%が有効利用されて目標を達成した。

 その一方、「経常収支比率」は消化ガス発電設備のオーバーホール点検や電気料の上昇による委託料の増、および燃料単価の上昇による燃料費の増などで、収益的支出が増加し目標をわずかに下回った。「企業債残高」も、巴波川浄化センターの汚泥脱水設備の更新工事を前倒して実施したことから、企業債の借入れが増加し企業債残高の減少幅が縮小した。

 委員からは経常収支比率について、このまま電気料や燃料費が高騰する中で、それを上回るほど費用の削減ができるのか質問があり、県は資源化工場の重油の使用量を削減するなど費用の削減を徹底するとともに、市町村の負担金協力を求めていく考えを示した。

 また、近年の豪雨災害を踏まえた水害への対策についての質問には、「流域下水道の処理場は浸水対策として、浸水深に応じた対策を随時実施している」と答えた。

 成果指標を達成するため、22年度に取り組む内容は次の通り。(カッコ内は22年度目標値)
▽処理場の処理能力=思川浄化センター水処理施設増設工事(機械・電気設備工事)を実施し、供用開始する。県央浄化センター水処理施設増設工事(土木工事)を実施する。(21万0700立方m/日)
▽老朽化した幹線管渠の調査・点検=引き続き調査・点検を実施予定。(一巡目100%)
▽改築・更新を実施した主要設備数(累計)=鬼怒川上流浄化センターにおいて、汚泥処理設備更新工事(機械・電気設備工事)を実施する。巴波川浄化センターにおいて、汚混処理設備更新工事(機械・電気設備工事)を実施する。資源化工場において、機械・電気設備の更新工事を実施する。(48設備)
▽幹線管渠の耐震化率=耐震工事を10カ所実施予定。(51%)
▽中継ポンプ場・処理場の耐震化率=引き続き間々田中継ポンプ場の耐震補強工事(土木・建築)を実施予定。(34%)
▽再生可能エネルギー導入等によるCO2削減量=発電設備の安定稼働に努める。引き続き処理施設の節電運用に努める。(3700トン-CO2/年)
▽下水汚泥等の有効利用=有効利用できる処理先への搬出を継続し、有効利用率を維持する。(82%)
▽経常収支比率=燃料費単価及び電力料金が高止まりしており、収益的支出の増加が見込まれることから、引き続き費用の節減に努めていく。(100%以上)
▽企業債残高=企業債償還金は9億0900万円の見込み。企業債の新規借入予定額は4億9800万円であるが、国交付金の決定状況等により減少が見込まれる。(84億円)

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