宮城県内業者の受注拡大要請 担い手確保で環境整備 宮城県土木部と意見交換会(宮測協)

[2022/10/26 宮城版]
よ2412 宮測協:②狩野副部長

担い手確保・育成に向けた環境整備へ意見を交わした

担い手確保・育成に向けた環境整備へ意見を交わした

よ2412 宮測協:①佐々木会長 県測量設計業協会(宮測協・佐々木甲也会長)は24日、県庁で県土木部との意見交換会を開いた。宮測協は県内本社企業の受注機会拡大や管理技術者の育成、低価格入札の対策強化施策といった、会員各社が担い手確保・育成に向けた環境整備に注力するための制度改正などを要望。会合では入札制度の改善策のほか、地域測量設計業が抱える諸課題解決へ双方が顔を突き合わせて議論した。

 会合には宮測協から佐々木会長はじめ幹部13人、県から土木部の狩野技監兼副部長、事業管理課の担当者ら5人が出席した。

 佐々木会長は7月の豪雨災害の対応に触れながら「“県土の安全は県民で”を念頭に微力ながら宮城の守り手としてその使命を果たしたい」と引き続きの尽力を約束し、「きょうは3つの議題に焦点を当てる。趣旨をご理解いただき諸課題解決へご教授をお願いしたい」とあいさつ。

 狩野副部長は、豪雨災害における協力に感謝を示し、また生産性向上や技術革新の必要性に触れ「土木部でも来年度から3次元CADを導入し、中長期的な視点で3次元設計の推進と利活用を図る」と意気込んだ。その上で「きょうの議題である担い手確保・育成などは、県においても重要な課題であり、意見を施策の展開に生かしたい」と述べた。

 宮測協は担い手確保・育成のための環境整備を焦点に▽県内本社の受注機会拡大▽管理技術者育成のための施策の導入▽低価格入札の対策強化──の3つを主要議題に挙げ、これらに関する施策改善などについて県と意見を交わした。

 県内本社の受注機会拡大では、県内業者の活用・育成の観点から県内本社を参加要件とする条件付き一般競争入札の拡大を要望。建設関連業務の落札割合は、測量設計は県内業者が高いものの、建設コンサルタント業務は県外業者が60~70%を占める状況。協会は建設コンサル業務の落札額の割合について県内業者50%程度とする数値目標の設定なども提案した。

 これに対し県は、県内本社を有する業者で実施可能な業務のうち、10社以上参加者が確保できる業務に適用している「地域限定型」の取り組みを示し「建コン業務への適用は21年度に若干増加し、本年度も同水準で推移している。引き続き業務内容や規模を勘案し、地域限定型の適用に努める」と回答。併せて、設計額での適用目安の設定など、適用拡大に向けた検討にも応じた。

 このほか、協会側は県内業者の活用・育成に向けて設計JV制度の運用拡大や、維持管理業務における県内本社企業の積極活用も提案した。

 管理技術者の議題では、協会側が現行の総合評価落札方式では管理補助技術者制度の関係から「41歳以上で県発注業務の実績がない技術者は受注機会に恵まれておらず、世代交代を妨げており、改善が必要」と指摘。そのため、総合評価の評価対象者に「県建設関連業務の担当技術者としての実績・成績評価を加えること」を提案。新たな管理技術者の育成が図られると訴えた。

 低価格入札の問題においては、21年度の県の建設関連業務の低入札発生率が一般競争で約71%と依然として高い水準。事業量の減少に伴いさらに激化・頻発化が見込まれることから、協会側は低価格入札の発生抑制強化を要請した。

 実際、低価格入札でなければ落札できない現状もあり、宮測協は「予定価格の事前公表」「総合評価の価格評定点の満点が調査基準価格以下に設定」「総合評価点が同点の場合、価格が低い応札者が落札者となる」などを要因として推察している。

佐々木会長

佐々木会長

狩野副部長

狩野副部長

 県は低価格による入札は品質低下につながる重要な課題との認識を示しながら、21年度の低入札による落札率は結果的に約40%(一般競争入札)にとどまっており、履行能力確認調査などの対策が一定程度機能していると評価。さらなる対策強化として、入札参加条件、総合評価落札方式、履行能力確認調査など、各種制度の改善・組み合わせにより制約を設けるなどの検討に取り組むと答えた。

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