3圏域基本に広域化 県水道広域化推進プラン 25年度以降に管理の一体化から

[2022/12/16 栃木版]

 県市町村課と生活衛生課はこのほど、県議会に「県水道広域化推進プラン」(案)を報告した。それによると、広域化・広域連携は水道事業の中長期的な経営基盤の安定化のため、積極的に推進する。県北地域広域圏、県央地域広域圏、県南地域広域圏の3圏域を基本とし、地域の実情に応じて多様な枠組・類型で連携を図る。スケジュールは、このあと水道広域化推進プランを決定して2023年3月に公表し、25年度以降は県北で管理の一体化や施設の共同化、経営の一体化に向けた検討を、県央と県南では管理の一体化や施設の共同化に向けた検討を進めていく。

 このプランは、将来的な人口(水道料金収入)の減少や老朽化した水道施設の更新費用の増大などで水道事業体の経営状況が厳しさを増していくと想定される中、中長期的な視点で県内水道事業体間の多様な広域連携、広域化のモデルケースを提案・試算し、議論を活性化して具体的な取り組みの検討を進めていくものとなる。

 「水道事業体の将来のあり方を最終的に決定するのは水道事業体自身」との基本的な考え方に基づき、広域化・広域連携について議論し実現していくための基礎資料と位置づけ、県はこのプランに基づく取り組みを推進する役割を担う。

 水道事業の広域化・広域連携は、市町等がそれぞれ行っている水道事業に必要な業務、施設の管理、更新などを、区域を越えて他の市町等と共同で行うこと、あるいは水道事業を行う市町等の水道事業体が統合することと定義。広域化・広域連携の手法には、「管理の一体化」や「施設の共同化」から「経営の一体化」、「事業統合」まで、様々な形態が含まれる。

 目指すべき姿は、国の「新水道ビジョン」でも示されている「安全」「強靱」「持続」の観点や、「県水道ビジョン」の発展的広域化推進の内容も踏まえ、水道事業体や水道用水供給事業体の意見・意向を考慮したうえで広域化・広域連携を推進し、公営企業である水道事業の健全な経営の継続を目指す。また、広域化・広域連携の機運が高まった水道事業体では、「経営の一体化」や「事業統合」など、より効率的な枠組での広域水道の構築も検討していく。

 広域化のシミュレーションでは、管理の一体化により県北地域広域圏(5市4町)で年間約2億円、県央地域広域圏(3市2町1企業団)で約2.8億円、県南地域広域圏(6市2町)で約3.5億円の削減効果が試算された。

 また、施設の共同化により県北地域広域圏で約19億円、県央地域広域圏で約13.5億円の削減効果が試算された。県南、県央地域広域圏にまたがる給水区域の見直しでは、約0.6億円の削減効果が試算されている。経営の一体化や事業統合では、いずれの広域圏でも中長期的に供給単価の削減効果があることが試算された。

 広域化・広域連携の実現に向けての今後の課題としては、地域差(料金・財政状況、施設整備水準等)や事業体間の調整の困難さなども配慮しながら具体的な検討を進める必要があるほか、施設の共同化に関する検討でも、財政収支シミュレーションで検証するためには水質、老朽化、耐震化などの課題がある施設の廃止や既存施設の有効利用、管網計算による配水区域変更の可能性など、具体的な施設再構築について検討する必要があるとしている。

 そのうえで、広域化・広域連携の推進方針として、広域化・広域連携は公営企業である水道事業の中長期的な経営基盤の安定化のための一方策として積極的に推進。県北地域広域圏、県央地域広域圏、県南地域広域圏の3圏域を基本とし、地域の実情に応じ、多様な枠組・類型での広域化・広域連携を推進していく。

 また、検討に当たっては比較的取り組みやすい「管理の一体化」から開始することを基本とし、広域化・広域連携の機運が高まった圏域・枠組ごとに、より具体的な検討を実施するものとする。

 推進スケジュールは、20~23年度で水道広域化推進プランを策定して23年3月に公表し、23年度以降は県から広域化・広域連携に取り組む圏域・事業体へ助言・支援を行うとともに、具体的な広域連携計画区域を定めてその区域ごとに具体的な連携内容を示す「水道基強化計画」を策定する。

 また各水道事業体は、23~24年度に圏域等で広域化・広域連携について個別の勉強会・検討を実施して、圏域等で方向性を検討。25年度以降は、県北で管理の一体化や施設の共同化、経営の一体化に向けた検討を、県央と県南では管理の一体化や施設の共同化に向けた検討を進めていく。

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