千葉県関連で河川2件が事業化候補に 田中調節池改修と江戸川水閘門改築(国交省)

[2023/3/1 千葉版]
 国土交通省は2月28日、2023年度予算に向けた新規事業採択時評価の手続きに着手すると発表した。本県関連では、新規事業化候補として、利根川・江戸川直轄河川改修事業(田中調節池)と江戸川特定構造物改築事業(江戸川水閘門)の2件が盛り込まれた。

 同省では、公共事業の効率性や、その実施過程の透明性の一層の向上を図るため、新規事業採択時評価を実施している。23年度予算に向け、新規事業候補箇所について、地方負担の負担者である都道府県などへの意見聴取を開始した。

 対象となるのは、河川事業4件、道路事業9件、港湾整備事業3件、空港整備事業1件の計17件。このうち本県関連は河川事業2件となっている。今後、都道府県などのほか、学識経験者など第三者で構成する委員会の意見も聴き、評価結果をとりまとめる予定だ。

 田中調節池は、我孫子市と柏市にまたがり、利根川と鬼怒川の合流点下流の右岸側に位置する。現在の洪水調節容量は約6100万m3。

 田中調節池の治水機能を向上させるため、越流堤を上流側に移設する。洪水調節容量を1100万m3増大させ、7200万m3規模とする。移設位置は、左岸にある稲戸井調節池越流堤の対岸付近を想定している。

 併せて、利根川と調節池を仕切る「囲ぎょう堤」や、調節池と堤内地を仕切る「周囲堤」を整備する。周囲堤は、かさ上げや拡幅を計画している。

 利根川下流部の治水安全度向上対策の計画段階評価では、「田中調節池の洪水調整機能の向上」案について、完成までの費用290億円、50年間の維持管理費用70億円をそれぞれ概算している。

 江戸川水閘門は、江戸川放水路分派後の旧江戸川上流端に位置する。1943年3月に竣工した施設で、築80年近くが経過し、老朽化が進んでいる。鋼製ローラーゲートで、規模は水門が幅10.6m×扉高5m×5門、閘門が幅13.4m×扉高6・5m×2門。

 22年3月に開催された関東地方整備局の計画段階評価検討委員会では、江戸川下流部の治水機能確保対策について、対応方針案を審議した。

 複数案を比較・評価し、対策案として「江戸川水閘門改築案」と「江戸川水閘門を迂回する放水路整備案」を抽出。コスト面などで、老朽化した現施設を撤去し、同じ機能をもつ水閘門を改築する「江戸川水閘門改築案」が了承された。事業費は約540億円を概算している。

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