新庁舎へ基金設置 当初予算 佐和駅で東西広場に着工(ひたちなか市)

[2023/03/02 茨城版]
 ひたちなか市の大谷明市長はこのほど、定例記者会見を開き、23年度の当初予算案など、議会に提案する議案説明などを行った。一般会計当初予算は、前年度当初比5.6%増の588億8000万円となった。主な事業では、30年度をめどとした新庁舎建設へ積立金を設定し、検討に着手するとしたほか、佐和駅の東西広場の改修工事費に3億5000万円を予算化する。このほか、雨水幹線整備事業や、新規事業の東石川・笹野町・長堀町重要給水施設配水管更新事業などを盛り込んだ。

 一般会計に占める普通建設事業費は53億3409万円で、東西駅前広場などに着工する佐和駅東西自由通路・新駅舎整備事業の増額などで前年度当初比40.3%の大幅な増加となっている。特別会計と企業会計を含めた総額は1050億2196万円で、一般会計や上下水道事業会計の増加などにより、全体では前年度当初比4.4%の増額となった。

 主な事業のうち、新庁舎建設に向けては、新たに基金を設置して1000万円を積み立てるほか、2月21日には市内部に部長級をメンバーとする市新本庁舎建設検討委員会を立ち上げ、検討に着手した。新庁舎の建設は、1970年建築の行政棟(RC造一部S造3階建て延べ4782平方m)と議事堂棟(RC造2階建て延べ1753平方m)が耐用年数を迎え、建設へのめどとした30年度に築後60年を迎えることなどから計画したもの。これらの施設では、老朽化による設備不調や執務室の狭あい化、バリアフリーなどの問題が山積し、維持コストも増加傾向にあるため、検討を進めることとした。

 大谷市長によると、「60年をひとつの目安と考えると、7~8年という時間の中で建て替えまで持って行くためにはこのタイミングでの議論が必要」と話し、基金の設置には「あくまでも議論を始めるという意思表示」という考え方を示した。このため、建設のめどとした30年度についても、着工や供用開始などの具体的なものではないとしている。事業費は約100億円を試算しているため、着工までに4分の1にあたる約25億円の基金を積み立てる考え。建設地や施設規模など具体的な検討はこれからとなるが、2~3年をかけて何らかの方向付けを行うもようだ。

 雨水幹線整備事業には13億5139万円を確保し、引き続き高場雨水幹線や大島雨水幹線、区画整理地内の雨水幹線整備などを進める。この事業では、中丸川流域における浸水被害軽減プラン(100ミリ安心プラン)に基づき、浸水被害解消に向けた雨水幹線整備などを進めている。新年度は、高場流域で高場雨水4号幹線、大島流域で大島第1幹線と大島第2幹線の整備を進めるほか、東部第2、武田、佐和駅東、六ッ野土地区画整理地内で雨水幹線の整備を行う。

 配水施設では、市毛地内配水幹線更新事業には7億8173万円、東石川・笹野町・長堀町重要給水施設配水管更新事業に5516万円などを計上した。このうち、市毛地内配水幹線更新事業は、総額約12億円を投じ、25年度ごろまでに口径700mmの老朽化した配水管を耐震化する。本年度は約600mの区間に着工し、2カ年で工事を進めている(施工は前田建設工業・ストウ工業JV)。また、新たに災害時に重要拠点となる施設に結ぶ配水管の耐震化工事にも着手する。

 佐和駅東西自由通路及び新駅舎整備事業では、3月補正を含めて25億8578万円を計上し、夏ごろの供用開始を目指して、引き続きJRによる自由通路や駅舎整備を進めていくほか、新年度から駅前広場や自転車駐車場の整備に着工する。東口では、新たな駅前広場(約6000平方m)や自転車駐車場の整備のほか、線路沿いの道路の整備を計画し、西口では、既存の駅前広場や自転車駐車場の改修工事を進める。

 都市計画道路東中根高場線のJR跨線橋「高場陸橋」の4車線化計画では、3月補正を含めて5億7064万円を計上。この事業ではこのほど、JR東日本により上部の架設工事に着手し、引き続き24年度末の供用開始を目指して各種工事を行う。市では、橋梁の整備に合わせて交差点改良工事などを進めていく。

 新規事業では、要安全確認計画記載建築物耐震化支援事業として2522万円を予算化。災害時における支援体制確保へ緊急輸送道路等の沿道建築物のうち、倒壊により通行の妨げとなる建築物の耐震診断に要する費用の一部を補助する。

 このほか、大谷市長は、建設地の絞り込みや社会情勢を踏まえた見直しを進めている図書館については、本議会で建設地などを提示する考えを示していたが、4つの候補地から東石川第4公園グラウンドを示した。湊線の延伸計画では、3月末の期限までとしていた工事施工認可申請について、国との調整を進めているが、期限の延長も視野に入れるもようだ。

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