週休2日が過去最大 担い手確保工事の実施状況(県検査指導課)

[2023/3/11 茨城版]
 県土木部が発注する建設業の担い手確保・育成に資する工事について、本年度1月末時点での実施状況が分かった。対象となるのは、完全週休2日制促進工事とICT活用促進工事、ASP、遠隔臨場、快適トイレ普及促進工事で、各工事ごとに実施件数を明示。それによると、週休2日制は297件で実施し、1月末時点で昨年度の件数を上回り、過去最大の実施件数となった。県検査指導課では、約1年後に迫る建設業の時間外労働の上限規制への適用に対応するため、さらなる取り組みを推進していく考えだ。また、ICT活用促進工事は135件、ASPは1179件、遠隔臨場は364件、快適トイレは444件での実施となり、いずれも過去最大の実施件数となっており、本年度末にはさらに実施件数が伸びる見通しとなっている。

 項目ごとにみると、完全週休2日制促進工事は、297件で行い、実施率は33.4%となった。昨年度は実施件数が248件で実施率は23.2%であったため、1月末時点で実施件数・実施率ともに昨年度を上回る結果となった。

 実施率が上昇した要因のひとつとして、21年10月に実施要領を改定したことが挙げられる。昨年度の改定では、完全週休2日制の振替要件の緩和を実施。具体的には、「土曜日の振替現場閉所日は、翌週内に設けることも可能とする」と「事前に協議を行えば悪天候が理由であっても、振替閉所日として認めることとする」の2点となる。これらの緩和を受けて、受注者が週休2日に取り組みやすくなっているのではないかと担当者は分析した。さらに、22年10月には発注者指定型が開始。3000万円以上の土木一式工事は原則、発注者指定型の対象となるため、実施件数の増加につながったという。

 ICT活用促進工事は135件で、実施率は29.5%となった。21年度の実施件数は109件で、実施率は39.8%。昨年度よりも実施率が下がったのは、22年4月からチャレンジいばらき簡単活用型を導入したことが要因となる。小規模工事を対象とした簡単活用型の導入にあわせ、1000立方m未満の土工を含む工事でもICT活用促進工事の対象となるため、対象件数が大幅に拡大し、実施率は下がった。しかしその一方、対象工事が拡大したことを受けて、実施件数は過去最大を記録した。さらに、これまで指摘されていたICT施工の地域差も減少する傾向にあり、県内全域でICT施工が進みつつあるという。

 ASPについては、22年4月から県土木部発注の営繕工事を除くすべての工事で原則適用となり、1月末時点には1179件で活用となった。活用できなかった工事をみると、主に維持修繕など小規模な工事での実施率が低いことが判明。今後はさらにASPの活用を促進するための取り組みを行っていくという。

 遠隔臨場は364件での実施となり、昨年度の68件を大幅に上回る結果となった。今後は国の動向を踏まえながら、拡大に向けて検討していく見通しとなる。

 快適トイレ普及促進工事では444件で取り組み、実施率は43.6%となる。昨年度は432件で実施し、実施率は35.3%であるため、実施件数と実施率ともに昨年度を上回った。快適トイレについては、昨年度から要領上の変更はなく、これまでのルールを踏襲している状況にある。

 県検査指導課の担当者は、いずれの項目も過去最大の件数となり、全体として生産性の向上や就労環境の改善が着実に進んでいる状況にあると説明した。ただし、24年4月には時間外労働の上限規制が適用されることに触れ、「法律に対応するため、週休2日制に取り組む中で、あわせて生産性向上にも取り組むことが重要」だと指摘。続けて、「週休2日制と生産性の向上を働き方改革の両輪として取り組むことで、生産性を上げながら、休める環境が実現すると思う。現在は小規模な現場でも扱いやすい技術が出てきており、受注者の皆さまには積極的な活用をお願いしたい。県建設業協会においても、来年度から公共工事におけるすべての土曜日を一斉休工の対象とする予定と伺っており、業界としても取り組みが拡大している。県としても、働き方改革の実現に向けて、制度的な内容も含めて引き続き支援していきたい」とコメントした。

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