下籠谷で低水護岸 事業概要 鬼怒川26億円、小貝川23億円(下館河川)

[2023/4/15 栃木版]

 国交省下館河川事務所の2023年度の事業概要によると、本年度は引き続き「流域治水」を推進するため、鬼怒川の田川合流点の水門整備のほか、鬼怒川・小貝川の維持管理をはじめ樋管改築・堤防整備、河岸侵食・洗掘対策などを実施する。このうち県内区間では、鬼怒川の真岡市下籠谷地区で侵食対策(低水護岸)を実施する。事業費は、鬼怒川が26億9100万円、小貝川が23億1700万円の計50億0800万円で、前年度の51億5700万円から2.9%減少している。

 同事務所は22年度に引き続き、「流域治水」による総合的で多層的な対策を推進するため、鬼怒川・小貝川で▽洪水氾濫を未然に防ぐための取り組み▽持続的な安全性の確保のための取り組み▽地域に元気を届けるための取り組み-を実施する。

 事業費は、河川改修費が鬼怒川16億7000万円、小貝川12億6200万円の計29億3200万円(前年度比11.1%減)、河川維持修繕費が鬼怒川8億8100万円、小貝川9億3800万円の18億1900万円(同3.1%増)、河川工作物関連応急対策事業費が鬼怒川7400万円、小貝川1億1300万円の1億8700万円(同167.1%増)、総合水系環境整備事業費が鬼怒川6600万円、小貝川400万円の7000万円(同218.1%増)となる。

 具体的に見ると、「洪水氾濫を未然に防ぐための取り組み」では鬼怒川で田川合流点の水門整備や、上流部における河岸の侵食・洗掘対策を行う。また小貝川では、老朽化した樋管の改築や撤去を実施する。

 鬼怒川の支川田川合流点の水門整備は、関東・東北豪雨の際に田川の沿川で床上・床下あわせて213戸の家屋が浸水する被害が発生したことを踏まえ、茨城県による田川の堤防整備とあわせて田川合流点に水門を整備し、鬼怒川の水位上昇時における洪水安全度の向上を図るもの。本年度は引き続き、茨城県結城市久保田地区で水門整備を行う。

 本県内では、鬼怒川上流部の河岸侵食・洗掘対策として真岡市下籠谷地区の侵食対策(低水護岸)を実施する。鬼怒川上流部は関東屈指の急流河川で、東日本台風では河岸洗掘や護岸崩壊など8カ所で被災したことから、低水護岸を整備して洪水時に堤防が決壊するリスクを軽減する。

 小貝川は、下流部の古八間排水樋管の老朽化が進んでおり、樋管部の堤防も必要な高さと幅を要していないことから、樋管の改築と併せて樋管部の堤防の嵩上げと拡幅も実施し、治水安全度の向上を図る。

 また「小貝川河川整備計画」に基づき、堤防の高さや幅が不足している区間の整備と老朽化した樋管の撤去を行う。23年度は、茨城県つくばみらい市上平柳地区で与後排水樋管撤去と堤防の嵩上げ、同市鬼長地区で道畑排水樋管撤去と堤防の嵩上げを計画する。

 「持続的な安全性の確保のための取り組み」では、維持管理として堤防の変状を早期に見つけるため年3回除草するとともに、堤防除草のコスト縮減に向けて除草機械の遠隔化や協力団体との連携に取り組む。

 また河川管理施設(水門等ゲート設備・ポンプ設備等)は、洪水時に確実に稼動できるよう定期的な点検・整備を実施するほか、樋管等の老朽化や操作員の高齢化が進んでいるため、ゲート更新時に無動力化などの効率化なども図っていく。

 「地域に元気を届けるための取り組み」では、鬼怒川・小貝川の水辺整備を実施する。同事務所では、鬼怒川・小貝川の良好な景観や安全な水辺へのアクセスなどを有する拠点を「リバースポット」として位置づけ、河川の管理用通路や鬼怒川の改修と併せて整備する工事用道路等をサイクリングロードとして活用する「かわまちづくり計画」を進めている。

 23年度は、鬼怒川で管理用通路をサイクリングロードとして活用するための整備を行い、小貝川ではサイクリングロードの利用実態へモニタリングを実施する。

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