菰田直典災害・建設業担当部長の就任インタビュー 「建設業の力 必要不可欠 災害対応で千建協らと連携強化」 (千葉県土整備部)

菰田災害・建設業担当部長

菰田災害・建設業担当部長

[2023/4/29 千葉版]
 千葉県県土整備部の災害・建設業担当部長に就任した菰田直典氏が弊紙のインタビューに応じ、「インフラの整備や管理、災害対応では、建設業の力が必要不可欠」と述べ、担い手である地元建設会社をしっかり支えながら、建設業界が持続的に発展していくことが重要との考えを示した。

 ──就任の抱負を。

 「自然災害から県民の命・財産を守り、地域の経済活動を支えるインフラ整備に全力で取り組んでいきたい。ハード対策とともにソフト対策も組み合わせて進めていく必要がある」

 ──建設業界の課題は。

 「建設業を支える担い手不足や技術者の高齢化のほか、建設分野のDXなど生産性の向上が大きな課題となっている。地元建設業と情報共有しながら、取り組んでいきたい」

 ──週休2日制適用工事について。

 「将来の担い手確保に向けた取り組みとして、2015年度から週休2日制適用工事を試行している。昨年度から対象工事の全てについて発注者指定型で発注し、経費についても昨年10月から、4週8休達成相当の経費増額分を当初から見込んで積算している。これらの取り組みを浸透させ、より働きやすい環境づくりに取り組んでいきたい」

 ──施工時期の平準化は進んでいる。

 「働き方改革の視点からも、債務負担行為を活用しながら、施工時期の平準化をさらに進めていく必要がある。人材や資材、機材の効率的な活用により、担い手不足の解消にもつながっていくことになる」

 ──建設分野のDXにどう取り組む。

 「建設現場のICT施工は、17年度から適用工種の拡大を図っている。建設業界と意見交換しながら取り組みが進むよう考えていきたい。5月から総合評価方式の評価項目にICT活用工事を追加するなど、環境づくりも進めている」

 「測量・設計関連では、BIM/CIMを昨年度、初めて北千葉道路建設事務所で試行導入した。設計段階からの3次元モデル導入の試行をさらに拡大していきたい」

 「ウェアラブルカメラなどを使用し、現場状況を監督員がリモートで確認する遠隔臨場については、千葉土木事務所を視察したが、カメラの画像がとても鮮明だった。一方で職員が現場に行く機会は必要なので、うまく使い分けながら進めていく必要があると思う」

 「本年度から各土木事務所にドローンを配備することが決まった。発災時に被災状況を撮影し、得られた映像を活用することで、道路や河川などの速やかな応急復旧に活かしていきたい」

 ──激甚化する災害への対応は。

 「まずは訓練にしっかり取り組むことが大切だ。震災対策訓練を通じて、県建設業協会など関係機関と連携を図りながら、迅速に対応できるようにしていきたい。津波対策として陸閘や樋門の操作訓練も強化する」

 「甚大な浸水被害を受けた一宮川流域では、河川改修を進めており、24年度までに中流域の整備を完了させる予定だ。流域治水の考え方を踏まえた土地利用施策なども進めていく必要がある」

 「危機管理型の水位計や河川監視カメラの増設を行い、水防体制の強化を図っていきたい」

 ──建設業の魅力をどう発信する。

 「これまで出張授業などを展開してきたが、新たな取り組みとして、小中学生を対象にマイクロソフト社のゲーム・マインクラフトを活用したコンテストを開催する。仮想空間のなかで道路や建物などの制作技術を競うもので、このような新たな施策にも積極的に取り組んでいきたい」

 ──建設業界に一言。

 「インフラ整備や災害時の応急対応など、建設業の役割が高まっている。県建設業協会など関連団体と意見交換しながら、要望については、できるところからしっかりと取り組んでいく。本年度は、圏央道へのアクセス道路となる銚子連絡道路や長生グリーンラインなどの開通目標を掲げている。その目標を達成するためにも協力してほしい」

プロフィル
こもだ・なおのり

 いすみ市出身。1965年生まれの57歳。90年3月に中央大学理工学部土木工学科卒業後、同年4月に入庁し、長生土木事務所や北千葉道路建設事務所、成田土木事務所などに配属。東葛飾土木事務所野田出張所長や道路計画課長などを歴任し、21年度から県土整備部次長、4月1日付けで現職。趣味は稲毛海浜公園や幕張新都心でのウォーキング。「名探偵コナン」シリーズは映画を欠かさず鑑賞しているほどの大ファン。情報収集するため、日経トレンディを愛読する。

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