排水路改修に10億円 名取の境堀 28年度までに約1・4㎞(宮城県仙台地方振興)

[2023/5/16 宮城版]
 県仙台地方振興事務所は、名取市内の境堀排水路を改修する計画だ。風水害などの影響により排水路のコンクリート矢板に傾きが生じており、延長約1・4㎞を対象に改修し、排水機能の回復を図る。本年度に実施設計を委託し、2028年度までの事業完了を目指す。実施設計は一般競争入札で6月にも発注する想定とし、概算委託費は1000万円を見込む。総事業費は9億6600万円を試算する。24年度の着工が目標だ。

 県営境堀地区(369㏊)の基幹水利施設である境堀排水路は、国営名取川土地改良事業の中で1974年に整備された。総延長は小塚原蟹穴~下増田寺野地区の計1895mで、RC矢板の護岸は幅が3・5~5m、高さが約1・6mの規模。集められた水は閖上排水機場から貞山堀に排出する。

 矢板の一部は東日本大震災で被災し、災害復旧を行っているものの、これ以外の区間についてはその後の度重なる風水害や地震の影響により傾きなどが生じており、排水機能が低下し、農作物・農地への災害の危険性が高まっている。そのため改修により未然の災害防止を図る考え。

 改修の対象は下流の排水機場から1428m区間を計画。改修は既存の矢板の外側に新しい矢板を打設することで水路断面を広げる。本年度に委託する実施設計で打設位置などの詳細を固める方針だ。設計の履行期間は約9カ月間を見込む。

 現在縦覧中の事業計画書によると改修の事業期間は23~28年度。総事業費は9億6600万円とし、内訳は排水路工事が8億3800万円、実施設計や建物などの工損調査などを含む測量試験費に6400万円、用地買収補償費が1800万円、その他事務的経費が4600万円とした。

 24年度の工事着手を目指す。

護岸は1・2㎞改修 岩沼は葉の木堀排水路

 同事務所では、岩沼市内の葉の木堀排水路についても本年度から改修事業に着手する。こちらも風水害により水路の護岸ブロックにはらみ出しがみられ、排水を阻害する危険性がある。延長約1・2㎞を対象に護岸を打ち直し、断面を回復させる方針。こちらも6月までに排水路改修の実施設計を一般競争入札で発注する計画。概算委託費は1000万円とする。工事は24年度の着手を見込む。総事業費は10億0100万円。

 葉の木堀排水路は、岩沼市下野郷汐入~下野郷新田地区に設けられている。県営葉の木堀堀地区(426㏊)の基幹水利施設で、1972年に整備された。総延長は2182mで幅が7~9m。長年の風水害や地震の影響を受け、コンクリートブロ積みなど護岸の一部が川側にはらみ出しており、排水機能の低下が危惧されることから改修により対策を講じる。

 対象は下流側の相野釜排水機場から岩沼臨空工業団地沿いなどの両岸1217m区間。連結ブロックを用いて改修する計画だ。改修に向けて実施設計を委託し、24年度の着工を目指す。

 事業期間は境堀排水路と同様に23~28年度まで。総事業費の内訳は、排水路工事が7億1900万円、工損調査を含む測量試験費が2億0800万円などとなっている。

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