総事業費は312億円 水道事業の経営戦略を策定(つくば市)

[2023/5/18 茨城版]
 つくば市は、中長期的な基本計画として、23-32年度を計画期間とする「水道事業経営戦略」を策定した。それによると、30年度までは配水場の設備更新や、葛城配水場から北部方面への配水管布設、未普及地域への新設管布設を中心に実施する。31年度以降は管路の更新工事を集中的に行う。事業費には10年間で312億7000万円と試算。本年度は中央配水場と君島配水場の設備更新工事や、配水管の布設工事を進める予定だ。

 経営戦略は、市民にとって必要不可欠な水道水の安定供給を、計画的に将来にわたって実施するために策定した。「地域とともに、信頼を未来につなぐつくばの水」を基本理念に掲げ、水道の「持続」と「安全」、「強靭」の実現を目指すとした。

 市の水源は20年度からすべて県企業局の県南西広域水道用水供給事業による受水で賄っており、1日最大配水量は7万4200立方m。水需要予測によると、将来需要は1日最大給水量が約8万2000立方mで、受水認可値を超えないため、水源は将来的にも全量受水とする。市ではこれまでに、主な経営健全化の取り組みとして、民間活用(水質検査業務、運転・管理業務、料金等徴収業務)や広域化(県の広域連携について検討)、施設の統廃合(浄水場などを統廃合し、効率的な施設利用を図る)を進めてきた。

 また、20年度には水道事業におけるアセットマネジメントを実施。その結果、61年度までの40年間に施設の更新を行わなければ、水道施設の健全化が著しく低下することが判明した。この結果を受けて、市は計画的に水道施設を更新していくことを決定。事業費については、61年度までに配水場などの構造物および設備の更新に約172億円、管路の更新に約1134億円となり、総額で約1306億円が必要だと試算した。この結果に加えて、未普及解消事業や耐震化などの既存計画を反映し、財政収支見通しを考慮したうえで、事業費を平準化して投資計画を策定した。

 既存計画は、施設整備と施設改良で構成する。このうち、施設整備には、▽北部低水圧対策(23年度)▽未普及地域用管路新設・幹線整備(23-28年度)▽同・面整備(23-48年度)▽TX沿線開発地区事業(23-24年度)──などを盛り込む。一方、施設改良では、▽中央配水場ポンプ設備等更新(23-31年度)▽君島配水場外ポンプ設備更新(23-24年度)──などの工事を予定している。

 市内の水道施設は、浄・配水場の統廃合を進めた結果、配水施設13カ所と給水所2カ所、非常用貯水槽2カ所に集約された。このうち、配水施設は、御祖師様浄水場(配水池として使用)、大貫浄水場(同)、大根山浄水場(配水池としての使用を検討中)、中央配水場(73年10月稼働)、葛城配水場(06年2月稼働)、南部配水場(07年1月稼働)、君島配水場、臼井配水場、大師様配水場、堀田山配水場、名古木配水場、学校脇配水場(10年3月に新設施設に切替え)、宮脇配水場の13カ所となる。給水所は山口第1給水所と山口第2給水所の2カ所。非常用貯水槽は天久保公園内と竹園公園内の2カ所となる。

 水道水は県県南水道事務所の霞ヶ浦浄水場から送水された水を中央配水場で受水し、中央・葛城・南部配水区域と桜地区配水区域へ送水するほか、君島配水場へ送水し、そこから東地区配水区域へ送っている。

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