茂宮川で河道掘削 主要事業 日立港区北拡幅を推進(県高萩工事)

[2023/6/24 茨城版]
 県高萩工事事務所(長山公信所長)はこのほど、本年度の主要事業をまとめた。道路事業では国道245号日立港区北拡幅の擁壁工事や、久慈川大橋の架け替えに向けた調査設計、高萩塙線の道路改良舗装工事、安良川赤浜線の道路改良工事などを推進する。河川・海岸事業では、茂宮川の河道掘削や十王川の築堤護岸工事、五浦海岸の消波工事を行う。このほか、国道349号玉簾大橋の耐震補強や花貫ダムでの設備更新などを盛り込んだ。

 幹線道路整備のうち、国道245号日立港区北拡幅(日立市久慈町~水木町)では、本年度に擁壁工事と用地補償を実施する。同線は物流や観光、地域の産業振興に加え、緊急輸送道路に指定されている重要な路線。この事業では4車線化を進め、慢性的な渋滞緩和や茨城港日立港区へのアクセス向上を図っていく。全体計画は延長1880m、幅員25m(4車線、両側歩道3.5m)で総事業費は50億円に設定している。

 国道245号久慈大橋(東海村豊岡~日立市留町)の架け替えでは、本年度に調査設計と測量、道路改良工事などを行う。久慈大橋は久慈川を渡河する延長368mの長大橋で、重要港湾である茨城港常陸那珂港区と日立港区を結ぶ重要な橋梁。老朽化を受けて、橋梁を架け替え、4車線化することで渋滞緩和と茨城港日立港区へのアクセス向上を図る。全体計画は延長1000m、幅員22m(4車線、両側歩道3.5m)とし、総事業は100億円となる。

 高萩塙線(高萩市下手綱~北茨城市中郷町)では、本年度に道路改良舗装工事を行う。同線は高萩市と北茨城市の連携を強化し、並行する国道6号の渋滞緩和を図る幹線道路であり、国道6号が津波で浸水した際の代替道路としての機能も発揮できるような整備を進めている。17年までに南側740mが供用を開始し、現在は残る区間で工事を実施している状況にある。全体計画は延長3650m、幅員13m(2車線、両側歩道2.5m)で、総事業費は74億円となる。

 安良川赤浜線(高萩市安良川)では、本年度に用地買収と道路改良工事を実施していく。同線は高萩市と北茨城市の連携を強化し、並行する国道6号の渋滞緩和を図る幹線道路の一部で、国道6号が津波で浸水した際の代替道路としての機能も期待されている。そのため、市街地内の渋滞緩和や通過交通の流入抑制を図るよう整備を進める。全体計画は延長860m、幅員16m(2車線、両側歩道3.5m)で、総事業費は18億円と試算している。

 耐震補強事業では、国道349号玉簾大橋の整備を行う。本年度には橋脚補強工や落橋防止構造設置工を予定する。この事業は、近年の激甚化・頻発化した自然災害に対応するため、事前に災害に強い道路ネットワークを構築するもの。今回は日立市東河内町地内に位置する同橋の耐震補強を実施していく。

 河川改修では、茂宮川で本年度に河道掘削工事を実施していく。茂宮川は常陸太田市高貫町地先に源を発し、日立市留町地内で久慈川に合流する河川。河口から国道6号までの区間は、排水の悪い湿地帯で耕地と平水位の高低差が小さいことから、しばしば浸水被害が発生する。そこで1966年度から河川改修事業に着手し、築堤や河道幅の拡幅などを実施している。全体計画は延長3200mで、総事業費は83億5000万円に設定している。

 十王川では本年度に築堤護岸工事を行う。十王川は東日本大震災において、河川を遡上した津波が河川堤防を乗り越え、日立市十王町に甚大な被害が発生。これを受け、海岸と一体となった防御対策として、粘り強い構造による堤防の嵩上げを行い、堤内地への津波浸水を防ぐ対策を進めている。全体計画は延長5280mで、総事業費は53億円となる。

 海岸事業では五浦海岸の浸食対策として、本年度に消波工事を行う。五浦海岸は北茨城市の北部に位置する崖海岸で、六角堂を中心に本県を代表する観光地。しかし、東日本大震災での崖地崩落の発生に加え、近年では自然の風雨や波浪による浸食が進行している。さらに、崖海岸の上部には住宅や生活道路、宿泊施設などが存在しており、それらへの影響が危惧されるため、消波工を設置し、海岸の侵食を防いでいく。全体計画は延長900mとし、総事業費は5億円を想定している。

 ダム堰堤改良事業では、本年度は花貫ダムで予備発電設備とテレメータ設備の更新を実施する。花貫ダムは管理開始から49年が経過し、老朽化が進んでいるため、故障が頻発に発生するなど、施設の管理に支障をきたしている。そこで、大規模で緊急性の高い施設の改良を行うことで、ダム機能の回復と向上を図っていく。全体計画では、ダム管理用制御処理設備等の更新に総事業費14億円を投じる計画だ。

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