建設候補地は2カ所 新庁舎検討委 野澤町長に結果を答申 5年以内の完成を目指す(河内町)

[2023/8/11 茨城版]
 河内町の新庁舎検討委員会(委員長・牧山龍雄町議会議長)は8日、新庁舎建設に関する答申書を野澤良治町長に提出した。答申書には、建設地として現庁舎案と中央公民館南側案の2カ所を盛り込み、事業費はいずれの場合も約30億円弱としている。町では今後、答申書を精査しながら建設地などを決定していく考えで、早ければ24年12月ごろまでに方向付けを行い、25年度の当初予算に基本計画委託料などの事業費を計上する考え。順調に進めば、約5年程度での完成を目指す。

 源清田にある役場本庁舎は、旧河内村役場として1969年に完成した。本庁舎の規模はRC造2階建て延べ1594平方mで、敷地内にはS造平屋の第1分庁舎(1995年年完成、132平方m)と第2分庁舎(12年完成、134平方m)などが立地する。本庁舎では、11年度に重量軽減を中心とした耐震化工事(施工は石山建設工業)が行われ、耐震性は確保している。

 今回の新庁舎整備は、築後50年以上が経過した現庁舎の老朽化や、各種機能の不足などから計画したもの。現庁舎では、経年劣化などによる雨漏りや軟弱地盤による沈下が発生しているほか、書庫や倉庫、会議室の狭あい化や不足も顕著となっている。エレベーターがないなどバリアフリーも課題となっているほか、災害時の防災拠点として耐震補強は行っているものの、今後予想される大地震に対しては機能的な懸念があるとしている。

 こうした状況を受け、18年度には幹部職員などによる庁内会議や、ワーキンググループなどによる検討に着手。昨年7月には、議会や学識経験者、町内の代表者らで構成する新庁舎検討委員会を設置し、約1年に渡り5回の会合を開催して検討を進めてきた。

 委員会では、現庁舎の改修ではなく建て替えによる整備を進めることとし、整備方針には、▽人にやさしく、利用しやすい庁舎▽無駄を省いたスリムな庁舎▽町民参画の拠点となる庁舎▽防災拠点としての庁舎▽環境に配慮した庁舎──などを掲げた。具体的機能として窓口や議会、行政などの機能のほか、防災拠点機能を盛り込んでいる。

 施設規模は、職員数の推計や付加機能などから延べ約3400平方mを必要面積に設定。建設候補地についてはこれまで、必要となる敷地面積を約1万4000平方mとした上で、▽現庁舎▽旧河内中学校▽中央公民館北側▽中央公民館南側▽かわち学園南側──の5カ所を候補地としていたが、5月に開かれた委員会において、現庁舎案と中央公民館南側案の2カ所を候補地として答申に盛り込むことを決定した。

 概算事業費は、現庁舎案で29億5250万円、中央公民館南側案で29億7800万円と試算。事業費の違いは、中央公民館南側案の場合に用地費がより必要となることに伴うものとなる。

 今回の答申に当たっては、答申に合わせた意見として、早期の事業推進に努めることや、建設候補地とした2カ所にはそれぞれの課題があるため、位置決定にはその解消に万全を期すこと、将来の負担軽減へできる限りの事業費抑制と活用可能な財源を検討することなどを求めている。

 答申を受け、委員長を務めた牧山議長は、「町は細長いため、核となる部分がなくてはいけない」と述べ、少子化により子どもが減っていくなかでも町としての核をつくり、盛り上がるようなまちづくりを要請した。

 野澤町長は、建設地について、アンケートや経済効果を判断材料に決めていくとしたほか、答申から長い時間を置くことを避けるため、来年末までには方向付けを行い、25年度予算に事業費を盛り込む考えを示した。整備に当たっては、「どんな施設になるかで金額も変わるが、無駄なものはなるべく造らないようにしていきたい」と述べたほか、完成までの目標を5年程度とし、地震や水害などの災害にも備えていく必要性を語った。

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