町民センターに約2300平方m規模で 図書館基本計画案 来年度から基本設計策定(益子町)

[2023/8/23 栃木版]

 益子町は、図書館基本計画案をまとめた。それによると、設置場所は町民センター敷地内を選定し、ここに延床面積約2300平方m、うち図書スペース約1500平方mの施設を整備する。内部は開架・閉架スペースのほか、交流スペース、カフェスペース、多目的スペースなどで構成。事業手法は検討の結果従来方式を採用し、整備の財源に立地適正化計画の支援事業である都市構造再編集中支援事業を想定する。スケジュールは、24年度に基本設計、25年度に実施設計を策定し、26年度から2カ年で施工して27年度の供用開始を目指す。

 町には、中央公民館内に図書室があるものの、図書館は設置されておらず、県内25市町の中では図書館が未整備の唯一の自治体となっている。町民から図書館建設を要望されているほか、「第3期ましこ未来計画」の将来像を実現するための中核的役割を担う施設として、町は新しい図書館の整備を検討してきた。

 19年1月には「図書館基本構想検討委員会」を発足し、「基本理念」とそれを実現する4つの「基本方針」を定めた。20年3月に同委員会から提出された基本構想をもとに、20年11月に図書館基本計画策定委員会を、22年9月に図書館整備検討委員会を設置している。

 現在の図書室は益子地内の中央公民館内に1988年6月1日に開館し、総面積194.5平方mに一般向け図書スペースや学習席、児童向け図書スペースなどを配置する。蔵書は22年度時点で、3万2214冊となっている。学習閲覧席の座席数が少なく、図書室があることが認知されていないほか、書架の収蔵能力が限界で閉架書庫も無く、資料の収集・保存の課題もある。

 新図書館の施設規模は、日本図書館協会の算出方法と町の人口から算出すると、延床面積は1759平方mで蔵書冊数は11万8980冊(開架冊数8万4990冊)となった。これらを踏まえ、目標値として年間来館者数16万人、貸出冊数20万冊と設定。この数値を人口一人あたりに換算した目標値は、年間来館回数が8回、一人当たり貸出冊数が10冊となる。

 図書館の設置場所は、複数の候補地を検討した結果、町民センター敷地内を選定した。町民センターの敷地内には中央公民館、町民会館、総合体育館があり、生涯学習、文化振興の拠点的機能を有しているほか、整備の際に活用を検討している国交省の補助事業「都市構造再編集中支援事業」が見込めるなどのメリットがあり、ここへの設置が最適と判断した。

 新たな施設は、開架スペース(一般書約4万冊、児童書約3万冊、郷土資料、視聴覚資料、カウンター、閲覧スペースなど)、閉架スペース(閉架書庫約4万冊)のほか、学習・読書などに用いるサイレントスペース、交流スペース、カフェスペース、多目的スペース、事務・管理スペース、その他ボランティア作業室、移動図書館車用書庫、機械室、物品庫、トイレなどで構成する。

 開架スペースは書架間隔にゆとりを持ち、車いすやベビーカーが通れる幅を確保するほか、書架の高さを抑えて見通しの良い空間とする。交流スペースには、コワーキングスペース的な活用が可能な設備を整備。カフェスペースは休憩スペースとして設け、商業的な事業可能性も引き続き調査を行う。延床面積は約2300平方mで、このうち図書スペースは1500平方mを想定する。

 整備の財源は、国庫補助金および地方債、地方交付税に基づく交付金を約9割活用する予定。活用する国庫補助事業は、立地適正化計画に基づく支援事業である都市構造再編集中支援事業を想定している。この事業では、図書館を誘導施設として位置付け、用地取得や設計施工などに係る費用に活用することができる。なお事業費は、基本設計で積算していく。

 施設整備にあたり、留意すべき事項には▽来館しやすい施設▽災害時に安全な施設▽周辺環境との調和▽施設の建材▽省エネルギー性-を設定した。来館しやすいよう道路交通の利便性を持ち、駐車場は周辺の駐車場の利用を含め総合的に判断して必要な台数を確保する。建材はコストや環境負荷、維持のしやすさ、修復しやすさなど多面的な視点から持続可能性に配慮する。

 事業手法は従来方式、DB方式、DBO方式、PFI方式から検討。その結果、従来方式に優位性があると判断して、設計、建設、維持管理、運営までを行政が主体として個別に業務を進めていく従来方式での整備を進める。あわせて、引き続き指定管理方式などを含む民間活力の導入なども検討していく。

 蔵書計画は、25年度の町の人口推計値を基に算出した数値では開架8万4990冊が基準となる。しかし、図書館を取り巻く状況は大きく変化しており、町では電子図書館サービスの検討を進めるとともに一般向け図書を4万冊、児童向け図書(絵本を含む)を3万冊の合計7万冊の開架冊数を計画する。これに加え、閉架書架で4万冊を想定し、11万冊の収蔵能力を確保する。

 整備スケジュールは、23年度に基本計画をまとめたあと、24年度に基本設計、25年度に実施設計を策定し、26年度から建設工事に着手して2カ年で施工する。27年度は建設工事と並行して備品購入なども進め、同年度内の供用開始を目指す。

 町は、この図書館基本計画案のパブリックコメントを実施している。計画案は役場、中央公民館、改善センター、あぐり館、および町ホームページで閲覧可能で、意見のある人は9月15日までに、生涯学習課生涯学習係(中央公民館内)へ文書で提出する。

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