青少年施設再編を了承 洞峰公園は議論不十分(県議会調特委)

[2023/9/5 茨城版]
 県有施設・県出資団体等調査特別委員会(田山東湖委員長)は8月30日、県議事堂で第2回会合を開催した。今回の議事では、9施設の現状や課題、対応方針を確認したうえで、審議を行った。その結果、青少年教育施設については、現在の4施設を2施設に再編することを了承した。今後は、白浜少年自然の家と里美野外活動センターの2施設を民間に譲渡するため、プロポーザルを実施していく。なお、洞峰公園のつくば市への無償譲渡や、鹿島セントラルビルの民間への売却については、議論が不十分とし、次回の会合で引き続き審議することになった。

 今回、審議の対象となったのは、青少年教育施設(白浜少年自然の家、里美野外活動センター、中央青年の家、さしま少年自然の家)と洞峰公園、鹿島セントラルビル、健康プラザ、青少年会館、あすなろの郷の計9施設となる。

 執行部の説明によると、青少年教育施設は、少子化の進行や類似施設の増加、体験活動の多様化などにより、利用者数は1985年度のピーク時に比べて4割以上の減少となっている。こうした社会情勢の変化を踏まえ、県では施設の適正規模・機能とするため、利用実態に見合った施設規模に再編することになった。

 その際には、主に宿泊学習に利用される3施設(中央・白浜・さしま)については、利用者や施設の状況、地理的環境を考慮し、宿泊利用者数が最も多いさしま少年自然の家と、県内各方面からのアクセスが容易な中央青年の家の2施設に再編する。

 白浜少年自然の家と、主にキャンプ場として利用される里美野外活動センターについては、県立青少年教育施設としては廃止し、民間への譲渡を検討するとした。

 洞峰公園については、当初計画していたパークPFIの導入から、つくば市への無償譲渡に変更となった経緯を説明。続けて、県と市での移管に向けた調整は概ね整った状況にあるとし、今後は県が行っている修繕工事の進捗や調査特別委員会の審議状況、つくば市の準備状況などを踏まえて、移管の手続きを進めていく方針だとした。

 鹿島セントラルビルについては、ホテルの客室稼働率の低下や婚礼・宴会の大幅な減少が継続していることを指摘。さらに、老朽化が進む新館の大規模修繕費用の捻出が困難であることなど、経営状況が厳しく抜本的な改革が必要だとした。

 そこで県では、鹿島開発のホテル部門等とその敷地である県有地を譲渡・売却する方針を決定。譲渡の方法としては、プロポーザル総合評価方式の入札を予定する。譲渡・売却の対象は、鹿島セントラルホテルの建物(本館、新館、温浴施設)、土地(県有地)などとなる。

 審議の結果、青少年教育施設については、少子化により施設利用者のさらなる減少が見込まれることや、利用実態に見合った施設規模に再編することは妥当だと判断した。また、民間に譲渡されても教育施設の有用性を理解した企業・団体により地域の賑わいや野外活動の場の確保が期待できると指摘し、執行部が予定する今後の対応を「異議なし」と了承した。

 執行部によると、再編時期は、現在の指定管理期間が満了する24年3月31日を目標に設定。今後は年内にも再編の条例改正等関連議案を議会に上程する。その後、民間への有償譲渡に係る公募をプロポーザルで行う見通しとなる。

 洞峰公園については、県民共有の財産でありながら、特定の市に無償で譲渡するのは、県民から理解が得られているかどうか疑問に残ると指摘。また、譲与手続きの過程や、譲与以外の方法についての議論も不十分だとし、今後の対応方針は次回以降に再度議論する必要があるとした。

 鹿島セントラルビルについては、民間譲渡の方針が示されてから、それを実行するまでの期間が短く、あまりにも唐突すぎると指摘。また、地元への説明が不十分であることや、ホテル事業以外の取り組みについて十分な精査ができていないと言及。今後の対応方針については、次回以降、再度議論すると方向性を示した。

 このほか、健康プラザと青少年会館、あすなろの郷については、県執行部の対応を了承した。各施設の対応をみると、健康プラザでは、24年4月から施設の維持管理などを県直営で行い、各種研修事業は外部に委託することになる。

 青少年会館では、宿泊事業を停止することを決定。今後は県営ユースホステルに代えて、民間のユースホステルの誘致・開拓や、青少年会館の機能を有効活用する民間活力導入の可能性についても検討を進めていく。

 あすなろの郷については、県社会福祉事業団の自立化を進める。今後は事業団から県へ出資金を返還し、10月にも自立化する計画となる。

 次回の県有施設・県出資団体等特別調査委員会については、25日の開催を予定している。

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