発電施設の開発許可へ 田島地区 地区計画縦覧し意見募集(佐野市)

[2023/10/11 栃木版]

 佐野市は田島地区の地区計画を決定するにあたり、計画原案の縦覧を開始している。この地区では、「グリーン発電佐野」(群馬県館林市)から都市計画提案制度に基づき、木質チップ化施設やバイオマス発電施設の整備の提案があり、市は提案内容が上位計画と整合していることから地区計画を策定する。この計画では、産業地区と業務地区に分け、利便性の高い産業用地としての土地利用を図るほか建築物等の規制、誘導で良好な環境の維持、増進を図るとしており、年度内にも開発行為を許可する考えだ。

 同地区は現在、市街化調整区域に指定されているが、2021年3月策定の足利佐野都市計画区域マスタープランでは、秩序ある都市的土地利用の実現に関する方針で「市街化調整区域の高速道路IC周辺や幹線道路沿線、駅周辺、既存集落などで、産業振興や地域の活力維持が求められる地区では、市街化調整区域の目的に沿った範囲において、地区計画や条例に基づく地域指定などにより一定の開発を許容する」としている。また、第2次都市計画マスタープランや国道50号沿線開発構想など、市の上位計画でも位置付けられているエリアとなっている。

 このような中、グリーン発電佐野から、木材や山林材を木質チップ化する施設や、それを燃料にバイオマス発電を行う施設を整備することで、廃棄物の有効利用や地元の雇用機会を創出し、佐野市の産業振興に貢献することを目的として、都市計画提案制度に基づいた提案があった。

 これを受け市は、提案内容が上位計画と整合しているとして、田島地区を周辺の土地利用状況や将来の産業拠点としての土地利用を見据えつつ、周辺環境との調和を図りながら、産業・業務用地としての良好な環境を形成し、将来にわたり維持、保全することがふさわしいと判断して、地区計画を策定する。

 田島地区は佐野藤岡ICから西へ約5kmに 位置し、国道50号と県道佐野行田線が交差する交通利便性の高い地区となる。国道50号沿線開発構想でも、既存の羽田工業団地と一体に整備をすることで、市の産業機能の強化が期待できるエリアとされている。

  しかしながらこの地区は、市の洪水・土砂災害ハザードマップで洪水浸水想定区域に指定されており、土地利用にあたっては防災・減災に配慮した慎重な整備が求められている。

  このため、本地区を含めた周辺の土地利用状況や将来の産業拠点としての土 地利用を見据えつつ、地区整備計画に建築物の敷地の地盤面の高さの最低限度を定め、開発事業者には緊急時の避難計画の作成などソフト対策や、周辺環境と調和を図りながら産業・業務用地として良好な環境を形成し 将来にわたり維持、保全することを目標として地区計画を定めた。

 土地利用の方針は、産業地区と業務地区の2地区に区分し、産業地区(約3.3ha)では国道50号を用いた広域アクセスの優位性を活かして利便性の高い産業用地としての土地利用を図る。また、業務地区(約0.2ha)では建築物等の規制、誘導により、将来にわたって業務地区として良好な環境の維持、増進を図るとしている。

 計画原案は23日まで縦覧しており、この原案に対する意見を30日まで募集している。市では今後、計画の縦覧を再度行った後、市の審議会を経て県の審議会へ提出し、年度内には開発行為を許可したいとしている。

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