久慈大橋を5年延長 県再評価委 6事業で継続妥当と判断

[2023/11/16 茨城版]
 県土木部公共事業等評価委員会(委員長・山田稔茨城大学名誉教授)は13日、県庁で本年度の会合を開催した。今回は「国道245号久慈大橋」と「竜ヶ崎阿見線・美浦栄線」、「江戸崎下総線」、「常総取手線」、「国道294号常総拡幅」、「常陸那珂港山方線(水戸外環状道路)」の再評価を行った。審議の結果、6事業すべてを「継続が妥当」と判断した。このうち、久慈大橋の架け替えでは、事業期間を5年間延長し、完成年度を31年度に変更している。

 あいさつに立った県土木部の生田目好美次長は、県が進めているインフラ整備の事業内容を説明。続けて、公共事業の整備には多大な費用と時間がかかるため、社会的・財政的な影響が大きいと指摘し、「そのため、事業採択前の計画段階や、事業開始後の一定期間が経過した段階で事業の必要性・効果を評価し、事業の廃止と継続を検討することは重要だと認識している。委員の皆さまには忌憚のない意見をお願いしたい」と述べた。

 再評価の対象となったのは6事業。このうち、4事業が事業計画の変更、2事業が規定の事業期間が経過したことによる評価となる。

 このうち、国道245号久慈大橋の架け替え事業では、完成年度を当初の26年度から5年間延長し、31年度に変更することを審議。今回の変更は、久慈川の河川管理者である国土交通省常陸河川事務所と施工計画を協議した結果、施工方法を変更することになったことが理由となる。具体的には、洪水が発生しやすい時期に川の流れを阻害しないような工事の進め方とすることや、新たな橋梁についても川の流れを阻害しないような構造とするなど、計画の見直しを求められたという。

 この事業は、国道245号の日立市内区間で進めている4車線化の一環として久慈大橋の架け替えを行うもの。新橋は、現橋の下流側に4車線の橋を設置する。同線の4車線化により、渋滞の解消や茨城港日立港区、常陸那珂港区の物流機能強化を図っていく。事業は18年度に採択され、東海村豊岡~日立市留町までの延長は1000m(橋梁部370m)、幅員22m(橋梁部23.3m)で計画している。事業費は100億円と試算する。

 進捗は、事業量ベースで0%、事業費ベースで4%となる。河川管理者との協議については、本年度中に終わる見込みだという。そのため、来年度からは本格的な工事に着手し、スピード感を持って整備を進めていく計画となる。なお、費用対効果(B/C)は1.4と試算している。

 委員からは、コスト縮減や架け替えの方法、工事の手順などについて質問が出た。また、新橋完成後の渋滞対策として、右折レーンの設置など、交差点の効率的な整備を行うことを県に求めた。

 竜ヶ崎阿見線・美浦栄線のバイパス整備では、事業期間を4年間延長し、完成年度を28年度に変更する。変更は、同線の整備延長が長く、地権者が多いことから、用地取得に想定を超える日数が必要になってることが要因と説明。また、対象地に埋蔵文化財包蔵地が多数点在し、調査と調整に時間がかかっていることも要因として挙げた。

 この事業は、現道の渋滞や狭あい区間の解消、ICへのアクセス向上などを目的とする。事業は18年度に採択され、牛久市久野町~龍ケ崎市八代町までの延長6500m、幅員23.5~16.5mで計画している。事業費は174億0200万円となる。

 事業の進捗は、事業量ベースで0%、事業費ベースで19.5%となる。今後はまとまった用地が確保でき、埋蔵文化財調査が完了した箇所から工事を進めていく。なお、B/Cは1.8と試算している。

 江戸崎下総線の整備では、事業期間を4年間延長し、完成年度を28年度に変更。今回の変更は、公図と現況が合わない公図混乱箇所が多数存在し、その対応に時間がかかったことが理由となっている。

 この事業は、狭あい区間の解消や、ICへのアクセス向上などを目的に現道を拡幅するもの。事業は18年度に採択され、稲敷市桑山~河内町平川までの延長2700m、幅員9.75mで計画。事業費は28億円となる。

 事業の進捗は、事業量ベースで16.3%、事業費ベースで20.4%となっている。今後はまとまって用地が確保できた箇所から順次、工事を実施していく。B/Cは1.3となる。

 常総取手線の整備では、事業期間を2年間延長し、完成年度を25年度に変更した。この変更は事業着手後に土地の権利関係における相続問題が発生し、用地取得に時間がかかったことが理由となる。

 同線では、(仮称)つくばみらいスマートICの事業化を受けて、大型車などの交通量の増加が見込まれることから、現道の拡幅を行う。事業は19年度に採択され、つくばみらい市古川~成瀬までの延長1600m、幅員13mで計画。事業費は12億円となる。

 事業の進捗は、事業量ベースで0%、事業費ベースで40.3%となる。残る用地については、23年度中に用地が完了したため、今後は順次、工事に着手し、早期の完成を目指していく。なお、B/Cは1.4と試算した。

 国道294号常総拡幅と常陸那珂港山方線(水戸外環状道路)では、規程の事業期間が経過したことにより、再評価を実施した。今回の審議では、前回からの変更点はなかった。

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