モノレールを年明け発注 大島の亀山で新設工事(宮城県 気仙沼市)

[2023/12/27 宮城版]
 気仙沼市は、大島の亀山にモノレールを新設する計画で、年明けにモノレールの基礎・本体工事と中腹駐車場の拡張工事を発注する予定だ。来年度はモノレールの乗降場(駅舎)やテラスなどを整備する考え。開業時期は当初、2024年度を目指していたが、25年度にずれこむ見込み。

 亀山には山頂部に園地(公園)があり、そこへのアクセス手段としてモノレールを整備する。モノレールは20人乗りの2両編成で、軌道延長に約433mを計画。コンクリートの基礎を設け、複数の支柱を立て、その上にレールを敷くことをイメージしている。

 本年度に発注する工事で、基礎や支柱、レールと、モノレールの車両本体を分けるかどうかは検討中。地盤の特性に応じて法面対策工事が必要な箇所や、地中深くに杭を打ち込む場所もある。

 出発点の駐車場と、終点の山頂にはそれぞれS造平屋の駅舎を建設し、エレベーターを設ける予定。当初は中間地点にも駅舎の設置を考えていたが、取り止めた。

 山頂駅舎にはカフェスタンドの併設をイメージしているが、どのように整備するかは決まっていない。これらは来年度の発注を見込む。山頂部にある既存のレストハウスは修繕を中心に改修する。

 モノレールと駅舎の整備事業費は9億9000万円を試算。昨年度に基礎工事費や駐車場の駅舎建設工事費として3億8000万円を予算化した。本年度はモノレールや支柱、レールの工事費と、中間部と山頂部の駅舎建設工事費に6億0740万円を計上した。

 当初は24年度の開業を想定し、昨年度に基礎工事を発注する予定だったが見送った。亀山が国立公園に指定されており、保安林の許可などに時間を要したことなどが理由となっている。昨年度の予算は繰り越した。

 その後、資材の高騰や地質調査の結果を踏まえた対策工事の追加などで、事業費の大幅な増額が避けられないと見ている。こうしたこともあり、中間部の駅舎の建設などは見送った。

 モノレールやレストハウスなどの調査測量設計業務はトーニチコンサルタント(東北支店・仙台市青葉区)に委託している。6月にはボーリング調査が完了し、土質の室内試験が終わった。履行期間は現時点で2024年1月末までとなっている。

 亀山ではこのほか、環境省の自然環境交付金を活用して魅力向上事業を進める。具体的には既存の駐車場の拡張やトイレの設置、公園内の再整備などを行う。事業期間は23~24年度の2カ年。

 本年度の事業費は6月補正予算で1億3002万円を計上した。駐車場の設計費と工事費、トイレと公園の設計費に充てる。駐車場は新たに50台程度のスペースを確保する。トイレは駐車場にあるものの、仮設でリース契約となっているため、本設する。来年度の事業費は明らかになっていない。

 山頂部の公園は遊歩道や休憩施設などを整備するほか、民設民営を念頭に置いたリニューアルも構想している。民間事業者にはアトラクション空間や飲食施設などを整備してもらう考え。民間活力の導入可能性調査業務はパシフィックコンサルタンツ(東北支社・仙台市青葉区)に委託した。

 亀山は標高が235mで、山頂の36haが三陸復興国立公園となっている。国立公園屈指の絶景を誇り、世界三大漁場の三陸沖や、湖面のような大島唐桑瀬戸などが一望できる。

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