平均5.9%引き上げ 3月から適用の設計労務単価(国交省)

[2024/2/20 栃木版]

 国交省は16日、2024年3月から適用する公共工事設計労務単価(基準額)を公表した。23年度に実施した公共事業労務費調査に基づき、全国全職種単純平均で前年度比5.9%引き上げる。また、必要な法定福利費相当額を加算するなどの措置を行った13年度の改訂から12年連続の引き上げとなり、全国全職種加重平均値は2万3600円となった。

 公共工事設計労務単価の設定は、最近の労働市場の実勢価格を適切・迅速に反映し、47都道府県・51職種別に単価を設定している。必要な法定福利費相当額や義務化分の有給休暇取得に要する費用のほか、時間外労働時間を短縮するために必要な費用を反映している。加えて、元請企業から下請企業を経由せず直接支給する手当がある実態を踏まえ、この手当を新たに反映している。

 全国・全職種の平均値は2万3600円で、前年3月比5.9%の増。公共工事で広く一般的に従事されている主要12職種の平均値は2万2100円で、同じく6.2%の増となっている。単価の平均値は12年連続の上昇で、伸び率は2年連続で5%以上となった。

 公共工事設計労務単価は、国や地方自治体などが公共工事の予定価格を積算する際に用いる単価。労働者本人が受け取るべき賃金を基に、日額換算値(所定内労働時間8時間)として労務単価を設定し、法定福利費(個人負担分)も全額反映する。

 なお、事業主が負担すべき必要経費(法定福利費、安全管理費など)は含まれておらず、下請代金に必要経費分を計上しない、または下請代金から値引くことは不当行為となる。

 必要経費は約41%(事業主負担分の法定福利費・労務管理費などの福利厚生費等が23%、安全管理費・宿舎費・送迎費などの現場作業にかかる経費が18%)と試算され、労務単価が2万3600円(100%)の場合に事業主が労働者一人の雇用に必要な経費は3万3276円(141%)になる。

 本県の主要12職種をみてみると、特殊作業員2万4800円、普通作業員2万2400円、軽作業員1万5900円、とび工2万7600円、鉄筋工2万8100円、運転手(特殊)2万5400円、運転手(一般)2万3900円、型わく工2万8400円、大工2万9500円、左官3万円、交通誘導警備員A1万7500円、交通誘導警備員B1万5200円となった。

 公共工事の労務単価は、所定労働時間内8時間当たりの[1]基本給相当額[2]基準内手当(該当職種の通常の作業条件と作業内容の労働に対する手当)-に加え、所定時間日数1日当たりの[3]臨時の給与(賞与など)[4]実物給与(食事の支給など)-の計4項目で構成する。時間外や休日および深夜の労働に加え、各職種の通常の作業条件または作業内容を超えた労働の手当、現場管理費や一般管理費など諸経費は含まれない。

 新年度の労務単価は、前年の10月に実施している公共事業労務費調査に基づき決定する。調査対象工事は農水省および国交省所管の直轄・補助事業等のうち、23年10月に施工中の1件当たり1000万円以上の工事から無作為に抽出して、有効工事件数は9742件(うち関東地方連絡協議会1596件)となった。有効標本数は、賃金台帳の不備などによる不良標本を除き、全職種で7万8241人(同1万5167人)となる。

 建築ブロック工については、23年10月の調査で十分な有効標本数が確保できず、公共工事設計労務単価としての設定に至らなかった。本県では、屋根ふき工の記載も無かった。

 なお、公共工事設計労務単価は労働者の雇用に伴い必要な賃金以外の経費を含んだ金額と誤解され、必要経費分の値引きを強いられる結果、技能労働者に支払われる賃金が低く抑えられているとの指摘がある。

 このため国は、公共工事設計労務単価の資料に労働者の雇用に伴う必要経費を含む金額と並列表示して、公共工事設計労務単価に必要経費が含まれていないことを明確化している。

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