消防署改築へ16億円 当初予算 復旧と防災対策を優先(日立市)

[2024/3/2 茨城版]
 日立市(小川春樹市長)は、6日開会の定例市議会に、24年度の当初予算案を提案する。一般会計の総額は747億8000万円で、大型事業の伸びや災害復旧関連経費の措置など、前年度当初比3.3%の増加となった。主な事業では、北部消防署の移転改築に総額16億1317万円、日立風流物収蔵施設整備事業に総額1億9258万円、本庁舎の災害復旧事業に総額8630万円の2カ年継続費をそれぞれ設定する。日立特別支援学校校舎等改築事業では、債務負担行為を含めて2カ年で2億9230万円の基本・実施設計業務委託料を確保し、3月中に委託業者を選定したあと、新年度から策定作業に着手する。このほか、常陸多賀駅周辺地区整備事業では、引き続き駅舎などの設計を行うほか、関連用地の取得などを進める。

 新年度予算では、昨年9月に発生した台風13号による大雨被害に対し、災害復旧や防災対策に関連する予算を最優先しながら、前期基本計画の着実な推進に向けた事業を盛り込んだ。一般会計に占める投資的経費は、災害復旧事業費(1億3889万円)を含めて総額84億2916万円で、24年度早々にも着工する市民運動公園の野球場改修工事費の伸びや、北部消防署の移転改築事業などにより、前年度当初比27%の増加となった。

 特別会計と企業会計を含めた総額は1256億1427万円で、一般会計や下水道事業会計の伸びなどにより、前年度当初比2.8%増と2年ぶりの増加に転じた。

 主な事業のうち、北部消防署の移転改築は、老朽化した現施設(1976年建築、2階建て延べ480平方m)を現在の日高3丁目から、日高小学校の南側(日高2丁目)に移転して改築するもの。敷地面積は6128平方mで、基本・実施設計はエイプラス・デザイン(水戸市)でまとめている。建設規模は、16年度に供用を開始した多賀消防署(RC造2階建て延べ1777平方m)と同程度を想定し、RC造2階建て延べ1865平方mとなるもようだ。工事は24年度から2カ年で進め、26年度の供用開始を目指す。

 日立風流物の関連施設では、展示施設と収蔵施設を整備するうち、新年度から収蔵施設の建設工事に着手する。この施設は、操り人形を乗せた人力で移動するカラクリ仕掛けの山車を収容する施設で、既存施設の老朽化などから再整備の検討に着手。日立風流物保存活用計画に基づき、展示・収蔵施設の整備に向けて、乃村工藝社(東京都港区)による基本計画をまとめた。

 計画では、展示施設と収蔵施設を別々に整備し、早急な対応が必要となる収蔵施設を先行して整備を進める。収蔵施設は、建設地に旧宮田幼稚園跡地を活用し、延べ約500平方m程度の施設とするもようだ。24年度は、実施設計まとめたあと、年度内に着工し、25年度中の供用開始を目指す。展示施設は市役所北側にある駐車場を活用して整備を行う計画で、収蔵施設から2年遅れて27年度中の完成を予定している。

 本庁舎の災害復旧事業では、2カ年で免震装置の復旧工事を行うほか、地下進入路に整備する上屋の設計をまとめる。また、24年度中には補正予算で事業費を確保し、庁舎安全対策計画の策定を待って庁舎の安全対策工事を行うほか、流域治水計画に基づく河川の改修工事を進めていく。

 昨年9月8日に襲った台風13号による本庁舎の被害では、小河川の増水による氾濫や土砂流出などにより、庁舎敷地や地下などに浸水被害があった。今回の工事では、被害を受けた免震装置(オイルダンパー4基)の復旧工事を行うほか、地下階への浸水防止対策に向けて、地下進入路上屋の整備へ実施設計委託料などを確保する。市では、23年度予算に企業会計を含めて約71億円の災害復旧費を予算化しているが、今後の庁舎や河川の安全対策費などを含めると、総額は100億円を超える見通しだという。庁舎については今後、電源設備関係の対策工事が予定されている。

 常陸多賀駅周辺地区整備事業では1億5735万円の事業費を計上。昨年夏にJRと結んだ基本協定に基づき、東西自由通路の基本設計を進めるほか、仮設計画設計や南側アクセス道路用地取得、東口広場の物件補償などを行う。

 日立特別支援学校校舎等改築事業では、基本・実施設計の公募型プロポーザルが手続き中で、今月中にも候補者を決定する。既存施設の老朽化や狭あい化などから現在地に建て替えるもので、23年度には教育環境研究所(東京都千代田区)により基本計画をまとめた。順調に進めば、25年度中に着工する運びで、既存施設の解体工事や外構工事などを除いた全体事業費は約38億円を想定する。

 このほかの事業では、幹線道路の整備に14億7026万円を確保し、中所沢川尻線や市道3509号線や金沢町地内道路などを進める。シビックセンターでは地下駐車場の改修事業に1億0364万円を計上するほか、横断歩道改修事業に2億2031万円、橋梁長寿命化事業に2億0790万円などを予算化している。

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