堤防被覆の津波対策 建設事業費5年で25%増(千葉県)

[2024/3/12 千葉版]
 千葉県議会の県土整備常任委員会が11日開かれ、2024年度当初予算案など議案17件を審議したほか、質疑応答などが行われた。津波対策として堤防のコンクリート被覆を進めていることや、県土整備部の普通建設事業費が5年間で25%増加していることなどが明らかになった。

 東日本大震災から13年を迎え、津波対策について質問が出された。九十九里では、延長60kmで高さ6mの堤防整備を進めてきた。高さを優先したため、コンクリート被覆されていない区間の延長は24kmとなっている。

 このうち12kmを優先順位の高い区間として、被覆工事を推進。片貝漁港の南側に位置する片貝海岸を中心に進めており、23年度補正予算案では事業費1億6000万円を計上している。

 房総半島東方沖で地震が頻発している状況などを踏まえ、委員からは「津波はいつ来るか分からない。1日も早く優先的に整備してほしい」などの要望が出された。

 24年度予算案で県土整備部の普通建設事業費は1070億円を計上。19年度の857億円に比べて25%増加している状況となっており、道路で約93億円、河川で約92億円それぞれ増えている。

 道路の維持管理事業については、24年度予算案で115億7700万円を配分し、前年度と比べ5億7000万円の増額。道路除草や側溝清掃など道路維持修繕費1億5000万円、防草対策などの維持工費費4億2000万円それぞれ増加している。

 委員からは、防災面からも道路を適切に維持管理していく必要があるため、しっかり予算を確保するよう求める意見が上がった。

 地籍調査については、対象面積4900km2に対し、890km2となり、進ちょく率が約18%にとどまっている。21市町村が実施しており、再開も含め、24年度から松戸、市川、袖ケ浦、大多喜の4市町が着手する予定だ。

 委員からは「能登半島地震など災害時のほか、道路整備の用地測量などでも地籍調査は大変重要」との指摘が上がり、各市町村で事業が進むよう求める声が出された。

圏央道の芝山トンネル貫通

 委員会の冒頭、県土整備部の池口正晃部長は、職員2人が収賄の容疑で逮捕されたことを報告し、謝罪した。事件の経緯調査や、これまでの取り組みの検証、再発防止策を検討するため、外部有識者による「県土整備部における不適正事案に係る検討会議」を2月に立ち上げた。

 入札・契約のあり方を検証・検討するための下部組織として「県土整備専門部会」を設け、先月19日に初会合を開催。検討会議で客観的な見地から意見をもらいながら、実効性のある再発防止策を速やかに策定し、着実に実行していく考えを示した。

 諸般の報告として、圏央道大栄・横芝間の進ちょく状況を説明。芝山トンネル(仮称)については、厳しい地盤条件下での施工となり、慎重に掘削を進め、先月28日に終点側までのトンネルが貫通した。

 トンネル内部をコンクリートで覆う工事を施工している。引き続き、沿線市町とともに、1日も早い開通に向け、国や高速道路会社に最大限協力する方針を示した。

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