宮城県 仙台市が毎月週休2日 本年度から工事に適用へ(東北ブロック部長会議)

[2024/5/18 宮城版]
 春季の北海道・東北地方ブロック土木部長等会議が15日、岩手県内で開かれ、国土交通省や東北6県、仙台市らが働き方改革の推進などについて話し合った。建設業が時間外労働の上限規制に対応する上で書類削減が重要になることを確認。仙台市は本年度から月単位の週休2日工事を発注する意向を示し、入札契約の要領変更に向けて準備していることを紹介した。

 会合には国交省、東北地方整備局、北海道開発局、東北6県、北海道、仙台市、札幌市から部長級の職員を中心に27人が出席した。

 主に▽予算の執行促進策と執行上の課題▽働き方改革の推進▽公共工事の品質確保に向けた取り組み▽今後の急激な人口減少や災害の激甚化、インフラの老朽化に対応したインフラマネジメント──について各機関が取り組み状況を報告し、非公開で意見交換した。

 予算の執行状況は、各機関とも昨年度の予算執行が順調に行われていることを紹介。併せて、国土強靭化の予算が毎年、補正予算で配分されているため、同省が本年度も当初予算の執行率を上げていくことで補正が適切となるようにしてほしいと求めた。

 仙台市は予算執行上の課題として、建築工事で機械などの設備工事を分離発注すると、専門工事業者が長期間の技術者拘束を余儀なくされることから敬遠しがちで不調になりやすいという事例を紹介。業界団体から建築工事に電気や機械を組み込んでほしいと要望されていることを伝えた。

 働き方改革については、発注者指定の週休2日を進めているものの、市町村の中でまだ取り組めていないところがあるため、国や県が個別に説明しながら理解を得て、年度内には全市町村での実現達成を目指すことにした。

 本県では栗原市、岩沼市、柴田町、蔵王町、丸森町、七ケ宿町、女川町が年度途中からの適用予定となっている。

 一方で、小さな町や村の場合、家族経営の会社も少なくなく、小規模工事を休まないでやった方が手っ取り早いという状況もあり、一律に週休2日ではなく実情に合わせてほしいという話もあった。国交省としては時間外労働の上限規制が適用となっていることや、若手が休みを求めていることも踏まえ、引き続き理解が得られるような取り組みを進めたいとした。

 週休2日工事に関して宮城県は、本年度から原則全ての工事を発注者指定型とし、現場閉所型に加え、交替制を導入している。仙台市は23年度から原則全てを週休2日工事としており、本年度からは国にならって月単位の週休2日に見合った補正係数などを適用する予定だ。

 国は土木工事・業務の積算基準等を改定し、月単位の週休2日の補正係数を新設して4月から適用している。ただし本年度に限り、通年の週休2日についても23年度までの補正係数を一部適用する。

 書類の簡素化に向けては、国が「工事書類スリム化のポイント」を盛り込んだガイドライン・リーフレットの作成や、「検査書類限定型工事」の原則実施などに取り組んでおり、これらを共有しながら皆で書類削減に向けて取り組むことにした。

 本県の場合、国・県・市町で同じ様式による書類提出を可能とする「工事書類の標準化」は、気仙沼市、塩釜市、川崎町が実施に向けて調整中で、それ以外は調整が完了している。

 仙台市は全ての工事を対象に工事書類を最適化することとし、「工事書類最適化ガイドブック」を作成。主な提出不要工事書類を例示し、受発注者の就労環境を改善するため、双方が工事期間中に心がけるべきことを示している。

 会合で仙台市は、時間外労働の上限規制に関し、夜間の舗装修繕工事などを進める場合、職員の立ち合いも含めて対応策を検討しなければいけないと問題提起した。

 岩手県は、建設企業のバックオフィス業務の効率化(DX)に対する支援を本年度から始めたことを紹介。建設現場だけでなく、事務管理業務(バックオフィス)の生産性向上が求められているため、バックオフィスの効率化に向けたデジタル技術の導入費・システム開発費などを一部補助する。

 公共工事の品質確保に関しては、各市町村が技術系職員の不足という課題を抱える中で、宮城県が市町村職員も多く参加している研修会の実施状況を説明。行政職の職員も参加する形で現場に即した実施研修や実例を基にした研修を行うことで、知識・技術も身に付きやすくなると紹介した。

 インフラマネジメントの話題では、市町村における技術系職員の不足で老朽化した橋梁の補修になかなか手をつけられない状況があるため、国が新技術や地域インフラ群再生戦略マネジメントの活用を進める必要があると伝えた。

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