吉田川500立方m/秒に改修 知事区間4.5km河道整備 29年度から約5年で(県)

[2017/1/12 宮城版]
 大雨のたびに洪水被害が起こりやすい吉田川の治水について話し合う「平成27年9月関東・東北豪雨被害を踏まえた吉田川の再度災害防止に係る学識者懇談会」(座長:田中仁東北大学大学院工学研究科教授)が11日、県庁内で開かれた。黒川郡大和町内を流れる吉田川の知事管理区間について、県は流下能力を500立方m/秒に上げるための河川改修を29年度から進めていく方針を示した。

 同懇談会には大学教授や沿川自治体、市民団体の代表をはじめ、国や県の担当職員ら約30人が出席した。黒川郡から東松島市野蒜地区まで流れる吉田川(延長44.2km)のうち、国道4号に架かる高田橋(大和町吉田)より上流側の知事管理区間12.3kmの改修に的を絞って意見が交わされた。

 黒川郡内の知事管理区間では、27年9月の関東・東北豪雨で川が溢水(いっすい)し、沿川で浸水被害が起こった。それ以前にも昭和61年8月の台風10号によって大崎市鹿島台地区が水没したほか、平成14年7月の台風6号、23年9月の台風15号でも浸水被害が起こっている。

 県はこの対策として、昨年12月に改正した鳴瀬川水系河川整備計画(知事管理区間)に、関東・東北豪雨の洪水実績500立方m/秒を踏まえた河川整備を計画に位置付けた。29年度から測量設計業務などを委託し、河道掘削や築堤を進める。おおむね5カ年で整備を完了させる考え。

 知事管理区間のうち、改修するのは高田橋から上流の籠釣橋までの延長4.5km区間。同区間は川幅が狭い上、川が蛇行している。最も流下能力が低い下原橋付近は、流量が100立方m/秒にとどまっている。

 県が示した整備方針では、高田橋から上流の綱木橋までの区間は十分な河道断面が確保されていないため、川幅を現況の3倍にあたる42m程度に広げる。河床を掘削、護岸を整備し、目標流量500立方m/秒を実現させる。

 国道457号に架かる綱木橋から上流の籠釣橋までの区間は、計画高水位を満たさない堤防の未改修区間がある。県は下流側で掘削した残土を活用し、両岸の堤防を築堤および腹付けする意向だ。

 県が試算した事業費は、建設費に53億0800万円、維持管理費に6億0400万円の計59億1200万円をみている。

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