山元と石巻で風況観測 風力発電の可能性調査 5月に業務委託(県)

[2017/3/25 宮城版]

3回目の会合で調査地選定の経緯などを確認した

3回目の会合で調査地選定の経緯などを確認した

 県は、沿岸域に大規模風力発電の導入が可能かどうかを調査するため、風況観測の実施エリアに山元海岸付近と、石巻港湾区域内の2カ所を選定した。24日には仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で第3回みやぎ洋上風力発電等導入研究会(座長・佐野好昭県環境生活部長)を開催し、学識経験者や漁業関係団体の代表らから、2カ所で導入可能性調査を進めることの了承を得た。4月中旬に風況観測業務の競争入札を公告し、5月中旬の契約締結、6月ごろの観測開始を予定する。

 風況観測地点の選定にあたっては、県内の11エリアを候補地として抽出し、同研究会の委員や、日本風力発電協会員などの意見を踏まえた上で、法的・地理的課題の低いゾーンを絞り込んだ。

 選定方法は「自然環境の保全」や「地元関係者の意向」など4つの観点ごとに、0点、5点、10点のいずれかを配点し、合計が30点と最も高かった山元海岸付近と石巻港湾区域内を調査対象に決めた。

 順位が1位となったのは山元海岸付近。鳥類の問題が少ない点や、建設基地の仙台港から近い点、地元の自治体から一定の理解が得られている点などが評価された。一方で、風況が良くないという判断も下された。

 石巻港湾区域内は、漁業関係者の理解が得られやすい点や、建設基地港の石巻港から近い点、着床式で対応可能な点などが評価された。ただし、航空自衛隊松島基地の訓練区域内にあたることが懸念材料となっている。

 今後は、山元海岸付近が地元漁業関係者との調整、石巻港湾区域内が松島基地との調整を経た上で、陸上での風況観測調査に着手する。観測内容は平均風速や最大瞬間風速などで、期間が30年5月ごろまでの1年間、高度が60m程度以上。

 風況観測業務の委託は当初、風力発電事業を行える者から企画提案を募る予定だったが、関係者との調整が整っておらず、事業の企画よりも風況観測のみを実施する必要があるため、競争入札での委託に切り替えた。

 第3回の同研究会は、鳥インフルへの対応で佐野座長が急きょ欠席した。出席した委員の中では、日本風力発電協会の中村成人専務理事が、調査地点の選定結果に関し「大きな違和感はない」との見解を表明。県近海底曳網漁業協同組合の菅野静春代表理事組合長は「船舶の安全を視野に入れて(風力発電事業を)検討してほしい」と求めた。

 同研究会では今後、8月下旬に第4回目の会合を開き、風況観測の状況を確認するとともに、山元沿岸と石巻港の地域ごとの協議会形成に向けた話し合いを行う。来年1月には5回目の会合を開き、風力発電導入の方向性(研究会成果報告書)を確認する。

 30年度以降は、事業実施に向けて地域ごとの協議会を立ち上げ、同研究会と連携・協力していくことになる。

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