トンネル長931mで設備設計 日光土木の川俣温泉川治線 2号橋はPC10.1m 若間工区境界確認行い用地調査へ

[2018/5/9 栃木版]
 県は日光市若間地内の主要地方道川俣温泉川治線の狭あい区間約2500mの整備(若間工区)について、トンネル1基の延長を931mとし、坑口西側に近接する2号橋は橋長10.14mのPC単純床版桁を軸に詳細設計を進めている。県日光土木事務所によると、トンネルはC等級で同県道の愛宕トンネルと同様の設備仕様を想定しており、6月にも設備設計を発注する見通しを示した。事業はトンネルを整備するバイパス区間を先行して第1期工区、1号橋を含む西側の現道拡幅区間は第2期工区として進めていく計画で、現在は国有林など境界確認を行っており、用地調査に備えていくとしている。

 同区間の現道は3.5~5.0mで、南側には一級河川鬼怒川が流れている。道路北側の斜面は落石の危険性が高く、トンネルによるバイパスを計画することとなった。トンネルの地質調査は川崎地質(東京都港区)、詳細設計を建設技術研究所(東京都中央区)が担当。川俣温泉側坑口と2号橋の詳細設計がニューフロンティア(宇都宮市)、川治側坑口と一般部の詳細設計をピーシーレールウェイコンサルタント(同)が担当している。

 2号橋は橋長が10.14m、上部形式にプレテンション方式PC単純床版桁の採用を検討。下部工は逆T式橋台2基で、川俣温泉側が杭基礎、川治側は直接基礎で施工する予定。

 トンネルは車道5.5mを確保した幅員7.0m。両側には0.75mの監査路を設置する。車道・監査路とも路盤工に車道路面をコンクリート舗装、監査路の路面は表層コンクリートで施工する。設備はC等級に合致するように照明等の常用設備とともに、非常用設備として通報・警報設備が非常電話・押しボタン式通報装置・非常用警報装置のほか、消火設備として消火器の設置も検討している。

 優先整備は狭あいで落石の危険性の高いバイパス区間とし、トンネルを含む第1期工区1800mを先行。西側の現道拡幅区間750mを第2期工区として整備を進めていく計画。

 橋梁は起点の川俣温泉側から鬼怒川支川の下の沢(1号橋)、トンネル坑口西側に近接するコビツリ沢(2号橋)、上八重沢(3号橋)の3カ所。3号橋の詳細設計はシーアイエス(宇都宮市)が担当。落石が多い箇所のため当初は、土石流の影響などを懸念し橋梁の架設を計画していたものの、地盤改良を行うことで安全性を確保、ボックスカルバート工(W5.7m×H2.7m)に決めた。

 1号橋は第2期工区に位置し、詳細設計は第1期工区の進ちょく状況を見ながら委託時期を検討していく。概算延長は5m。

 若間工区は27年度県公共事業評価委員会で、28年度からの事業着手を了承した。総事業費には約41億円を試算。標準幅員は両側に堆雪帯を設置した8.0mとし、トンネル部が7.0m。事業費の内訳は、測量設計費約2億円、用地補償費約5000万円、工事費は約38億5000万円としている。

 同工区の改善に当たり、屈曲して狭あいが著しい大川築から若間集落までをトンネルによるバイパスとした理由に、▽現道拡幅の場合、急峻な地形の拡幅と防災危険箇所対策のための法面工事などに多額の費用を要すること▽現道拡幅では防災危険箇所範囲外の落石などに対する危険性を完全に解消することができないこと▽同工区は日光国立公園特別地域内にあり、地形改変による自然環境や景観への影響を小さくすることが必要なこと-を挙げている。

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