治山林道、自然公園で57カ所施工 県が森林整備の木材利用計画 30年度は1495立方m計画 押し角材で残置式型枠工

[2018/7/21 栃木版]
 県環境森林部は20日までに、30年度の森林整備事業における木材利用計画をまとめ、治山・林道事業と自然公園施設整備を合わせ57カ所で木材使用量が1495立方mを試算していることが分かった。内訳は、治山事業が26カ所1133立方m、林道事業6カ所135立方m、自然公園施設は25カ所227立方m。県森林整備課によると、土砂流出が激しく強度が求められたり、民家に近接した防災上危険性の高い箇所を除き、押し角材を使った残置式間伐材型枠で施工。また、木製柵工や筋工を実施し、施工地の安定と緑化を行うことで、保安林の公益的機能の向上と木材利用の推進を図っていくとしいる。工事は7~10月が発注のピークとし、所管の5森林事務所から執行される。

 30年度の森林整備計画は、前年度実績の1324立方mに比べ微増となっている。災害復旧工事が落ち着いてきたためで、治山事業における木製型枠の施工箇所数も減少傾向となっている。

 県は治山や林道事業、自然公園施設整備など公共工事に木材利用を拡大していく方針を示しており、20年度から始まった県民税充当による民有林間伐等事業が30年度以降も継続することが決まるなど、公共工事に木材を使用する機運は高いとしている。

 箇所数では、前年度に比べ治山事業が10カ所減り26カ所、林道事業は前年度から1カ所増え6カ所、自然公園施設は6カ所増の25カ所を予定した。全体に占める残置式型枠の治山事業の箇所数では、29年度実績が55.5%の36カ所中20カ所、木材使用実績では全体の1128立方mのうち79.8%を占める900立方mを20カ所で使用した。

 今年度は26カ所のうち73.1%に当たる19カ所で施工を計画。木材使用も1133立方mのうち90.3%を占める1023立方mが残置式型枠による使用を見込んでいる。

 林道事業については、29年度実績が5カ所で32.0立方m、今年度は6カ所の使用材積は135.0立方mを試算している。このうち残置式型枠の使用は無い。用途としては、林道の開設工事に合わせ、法面に植生の繁茂を防止する丸太伏工や木柵工を実施するなど、木材利用の拡大を図ってきた。一方で、残置式型枠は利用が限定されるため、24年度に3カ所の実績があったものの、25年度から5年連続して実績が無かった。

 自然公園施設整備では、29年度実績が19カ所で164立方m、今年度は25カ所で227立方mの利用材積を試算した。林道同様、残置式型枠の使用は無く、歩道橋梁・桟橋の床版や野外卓、多言語標識などへの実績とともに利用を見込んでいる。

 県は平成12年度、森林整備に間伐材を試行的に使用。治山事業は治山ダム工や土留工、林道事業には擁壁工事などに残置式型枠工を試行した。当時の実績は、型枠面積1367平方m、材積で164立方m程度だった。

 残置式型枠の試験的施工が成功し、13年度には森林整備に本格的に間伐材を導入。治山ダム工や土留工、林道擁壁工事への残置式木製型枠工が主体で、同年度以降は治山事業を主体に毎年、約1000~1500立方mの木材を使用している。

 14年度には使用する間伐材に樹皮付き丸材から押し角材を試行。施工性の向上とともに、その後は、押し角材を採用した工法で施工を続けている。使用する木材は、県有施設の木造化に関する基準に基づき県産出材を使用。県産出材証明制度要綱を活用することで、栃木県産出材の確認を行っている。

 今年度の主な施工箇所は次の通り。([1]工種と基数[2]林道の施工延長[3]材積・コンクリート容量[4]型枠面積)

《治山事業》

【復旧治山事業】

▽古関(鹿沼市引田字古関)=[1]谷止工1基[3]26立方m[4]250平方m
▽伊勢沢(日光市足尾町字下ノ向外)=[1]谷止工1基[3]33立方m[4]316平方m

【林地荒廃防止事業】

▽赤行(鹿沼市板荷字熊ノ殿)=[1]土留工2基[3]19立方m[4]180平方m
▽小巻川(那須塩原市鴫内字ヒドノ脇)=[1]谷止工1基[3]30立方m[4]286平方m

【予防治山事業】

▽森の沢(日光市滝ヶ原字森の沢)=[1]谷止工2基[3]35立方m[4]330平方m

【自然環境保全事業】

▽宮川2(矢板市長井字弓張外)=[1]谷止工1基[3]20立方m[4]187平方m

【県単治山事業】

▽ユナゴ沢(日光市湯西川字移木沢)=[1]土留工1基[3]10立方m[4]97平方m
▽笹原田(市貝町大字笹原田)=[1]土留工1基[3]10立方m[4]99平方m

《林道事業》

【森林整備林道事業】

▽大荷場作原線(佐野市作原町外)=[1]筋工外[2]256.0m[3]4立方m
▽塩の草須佐木線(大田原市須佐木)=[1]丸太伏工[2]390.0m[3]78立方m

【森林路網整備事業・県単林務】

▽鍛治内磯上線(大田原市河原)=[1]丸太伏工外[2]45.0m[3]5立方m

《自然公園事業》

【自然公園等施設整備事業】

▽ヨシ沼園地(那須塩原市湯本塩原)=[1]歩道工[3]34.0立方m
▽八方ヶ原県民の森線(矢板市下伊佐野)=[1]歩道工[3]36.0立方m
▽那須高原歩道(那須町大字湯本)=[1]歩道工[3]35.0立方m
▽益子国民休養地(益子町大字益子)=[1]橋梁工[3]4.0立方m

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