東横田廃止し川田に集約 宇都宮市 広域化へ今秋着工 地方創生交付金で受入施設

[2018/9/8 宇都宮版]
 宇都宮市は、東横田清掃工場(東横田町136)で行っているし尿と浄化槽汚泥処理を川田水再生センター(川田町240)に集約するため、今年度に受入施設(前処理)の整備工事に着手する。JS日本下水道事業団が業者選定の手続きを行っており、今秋に着工し31年度の完成を目指すもの。市下水道管理課によると、内閣府の地方創生汚水処理施設整備推進交付金を充当、市環境部所管の東横田清掃工場を上下水道局の川田水再生センターに集約することで、庁内業務のスリム化にもつながるとしている。事業費は約15億円。     =2~3面に下水道の日特集

 国土交通省、総務省、農林水産省、環境省の汚水処理関係4省は今年度、下水道広域化推進総合事業を創設。下水道事業者の県や市町村などの地方公共団体等は、少子高齢化をはじめ人口減少を背景に、使用料収入の減少や職員数の減少、施設老朽化に伴う大量更新期を迎えた下水道をはじめとする汚水処理施設を抱え事業運営を行っており、経営環境は厳しさを増している。

 これら4省は制度創設に伴い今年1月、都道府県において平成34年度までに「広域化・共同化計画」の策定を要請した。経営環境の改善に向けハード面では、複数自治体等の汚水処理施設の統合や共同化により広域的な視点から効率化を図るとしており、主な交付対象事業として▽下水道を含む汚水処理の広域化・共同化にかかる計画策定▽共同水質検査施設▽移動式汚水処理施設▽汚泥運搬施設▽汚泥処理施設▽共同管理施設▽し尿受入施設▽汚水処理施設の統合に必要な管渠等の施設-などを挙げた。市の東横田清掃工場廃止と川田水再生センターへの統合は、広域化・共同化計画を先取りした形で、関係者からの注目を集めている。

 汚水処理における市の広域的な取組は、廃掃法に伴い23年度に策定した一般廃棄物処理計画が端緒という。その後、27年10月に「市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定。「効率的で健全な都市運営を実現する」を目標に、快適な住環境の整備により、定住人口の増加を図りつつ、清流と緑に囲まれた暮らしやすい快適な循環型社会の形成を目指すとした。

 一方で国は26年1月、10年概成アクションプランを示し、未整備地域における汚水処理施設の整備を促進し今後10年程度での汚水処理施設の完了を目標に掲げ、下水道事業者等関係自治体を啓発。市は合併処理浄化槽で処理するし尿・浄化槽汚泥等の経年的な量・質的変化を踏まえるとともに、施設の老朽化にも対応していくため、公共下水道と整合を図った施設整備に加え、水再生センターで一体的に処理することで事業の促進を図るとする取り組みに舵を切った。

 東横田清掃工場の1日当たりの処理量は185㎘(し尿63㎘、浄化槽汚泥122㎘)で、川田水再生センターの受入容量の5%程度とし、現時点でも運用余力の中で十分対応が可能とした。28年度には経年劣化の進んだ東横田清掃工場の廃止と川田水再生センターへの集約を決め、29年度にJS日本下水道事業団に調査設計を委託、今年度から2カ年で整備工事を実施するとしている。

 工事は受入施設の新設で、施設南東側に汚泥受入棟を整備する。受入施設は下水道汚泥として処理するため、スクリーンで夾雑物を除去。貯留して下水道汚泥と同じ状態にするため、濃度を調整し汚泥処理する。最終的には資源化し循環型社会を目指していくとした。

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