12月までに手法選定 普通教室の空調設備(習志野市)

[2018/9/15 千葉版]
 習志野市の宮本泰介市長は、開会中の市議会9月定例会における複数の議員からの一般質問で取り上げられた、市立学校施設への空調設備の設置に対し、幼稚園を含む全ての小・中学校の普通教室に、32年夏までの設置を目指す考えを明らかにした。同市教育委員会ではその手法などについて調査と検討を始めており、今年12月の補正予算案提出までに選定を終えた上で予算措置を図る方針。事業費については「かなりの概算費」としながら、全普通教室への設置完了までに最大30億円が必要との見通しも示された。

 外壁・屋上やトイレの改修を優先させたため、これまで保留していた普通教室への空調設備設置について宮本市長は、8月下旬に庁内で設置の方針を明らかにしたという。同市立の小・中学校では職員室など管理教室や、保健室や音楽室、特別支援教室などには空調設備の設置が図られているものの、普通教室への設置はわずかに留まっている。

 今年5月1日現在での小・中学校のクラス数は405教室で、さらに市ではこれに幼稚園を含め、将来的に必要となる設置数を約500カ所と推計している。

 同市教委では、気象庁に災害級と評された今夏の猛暑を受け、快適で安心・安全な学習環境づくりに空調設備は重要だとし、あらためて普通教室への設置を最優先に設定。外壁や屋上、トイレの改修がある程度進んだことで、財源なども検討していく。また、残る視聴覚室や理科室といった空調未設置の特別教室や、屋内運動場などについては、普通教室への設置にめどが立った上で、追って検討していくとした。

 検討中だという事業手法について市は「直接施工方式」「リース方式」「PFI方式」の3種類を比較検討しており、それぞれのメリット・デメリットとして、直接施工方式の場合は、国の補助金が活用できる一方で設計・施工に時間がかかり、単年度に多額の費用が必要となる点を挙げた。

 リース方式については、設計・施工・メンテナンスを一括で発注できる上、年度ごとの負担を平準化できることにメリットがあるものの、国の補助金が使えないというデメリットが存在。PFI方式では国の補助金が期待できる一方で、事業者決定までのプロセスが複雑で長期にわたるため、早期の設置が困難だとした。

 市立学校への空調設備設置については習志野市の近隣自治体でも設置が検討されるなどしており、千葉市は開会中の市議会9月定例会に、小中学校普通教室空調設備基本計画策定委託料7800万円を計上した一般会計補正予算案を提出。確保できれば事業手法の検討や各事業費の算定、整備スケジュールの検討などを委託して進めることにしている。

 八千代市でもまた、市議会定例会に追加提案した一般会計補正予算案で、期間を30~32年度、限度額を3,300万円(+税)とする「小中学校普通・特別教室等空調設備整備PFI事業実施支援業務委託」を、債務負担行為として追加設定することを盛り込んだ。一方で31年度以降、近隣市でこれらの整備が集中することも予想され、施工者の不足も懸念されるという。

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