次年度から基本設計 市庁舎の整備基本計画案(八千代市)

[2019/2/4 千葉版]
 八千代市庁舎総合整備課は1日、市庁舎整備基本計画案を明らかにした。新庁舎の規模を延べ約1万8500平方mを想定し、構造については、地下1階地上5階建てとすることを想定。既存敷地の借地部分の取得を図っていた市では、先月末までに地権者から同意が得られる見込みとなったことから、既存庁舎の北西側に改築する方針を固めたという。2019年度は基本設計を委託した上で、事業方式の検討を進める考えで、方式についてはデザインビルド(DB)方式とECI方式を基本にする方針だ。

 事業費については、新庁舎建設に約93・8億円、倉庫建設に約2億円、解体工事に4・29億円、基本設計に0・8億円、実施設計と工事監理に約2・28億円などを概算。合わせて約118・34億円を見込んだ。また、立体駐車場を建設した場合は約127・72億円になるとしている。

 事業方式の比較に当たって市は、新庁舎建設予定地(既存庁舎敷地)の用途制限や法的制限に加え、不正形な敷地の形状から利用できる部分が限られているため、活用できる空地が少なく、民間事業で収益を見込むことは難しいとした。

 加えて、17年度に実施した市庁舎整備手法等検討調査業務で、市庁舎単独で整備した場合、想定される事業手法のうち「BTO方式」は、DBM方式に比べて大きなVFMが見込めないとの結果が出ていることから、比較検討の対象とする事業手法はBTO方式を除いた▽従来方式▽DB方式▽ECI方式▽DBM(デザインビルドメンテナンス)方式▽リース方式──の5通りとした。

 それぞれをみると、市が資金調達を図った上で設計や建設、供用後の維持管理などを別々に委託または発注する従来方式については、コスト縮減面で、他方式に比べて民間のノウハウが発揮される範囲が限定的で、大きなコスト縮減は期待できず、施設整備年度の支出が大きいこと、設計と施工を分離して発注するため、事業者の募集や選定に時間を要するとした一方、公共調達金利のため、民間調達金利に比べて事業費は低くなる傾向があるほか、設計者と施工者は分離されているため、市の求める設計品質を反映した実施設計が可能であることなどを利点として挙げた。

 DB方式は、事業者による技術提案や設計・建設の包括発注によりコストを縮減できる可能性があり、工程も設計・施工の一括契約のため、事業者の募集や選定期間は従来方式と比較して短縮が可能であり、さらに設計者と施工者が同一事業者となるため、責任の所在が明確だとした。

 一方で設計者と施工者が同一の事業者となるため、市の求める設計品質の確保に当たり、発注者や第三者などによるチェックが必要になるとした。

 直近では白井市庁舎の再整備でも用いられた、施工予定者技術協議方式とも呼ばれるECI方式は、実施設計段階での施工企業による技術協力やVE提案を受けるため、コストの縮減可能性があり、設計者と施工者が分離されていることで、設計者は市の求める設計品質を反映した実施設計が可能で、かつ実施設計段階での施工者からの技術支援を受けることで設計品質の向上が期待できるものの、技術支援でのVE提案などの協議の結果、当初の予算内に収まらない場合に、施工者の再公募などが必要になる事業遅延リスクがあり、さらに問題が発生した場合、設計側、施工側のいずれの瑕疵であるかの判別も必要だとした。

 DBM方式は、設計・施工・維持管理・運営を包括して委託することで、民間のノウハウが発揮され、大きなコスト縮減の可能性がある一方、庁舎の場合は運用形態が限定的なため、民間事業者の経営ノウハウの取り入れが難しく、大きなコスト縮減は期待できないとした。リース方式についても同様に、コスト縮減は期待できす、民間調達金利となるため公共調達金利に比べて事業費は高くなる傾向がある一方で、財政支出の平準化が可能になるなどとしている。

 計画案では、定性的評価で優位だったDB方式もしくはECI方式が望ましいとされたものの、定量的評価ではDBM方式が最もVFM値が高かったことから、民活手法であるDB方式とECI方式を基に、各デメリットやDBM方式とのVFM値の差を解消できる手法を検討していくとしている。

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