維持工事の実績評価 総合評価で新実施方針 19年度から適用(東北整備局)

[2019/3/2 宮城版]
 東北地方整備局は、総合評価落札方式に関する新たな実施方針を定め、2019年度から適用する。新たな取り組みとして、工事では、河川維持・道路維持工事の施工実績を一般土木工事で評価する。建設コンサルタント業務等では、県内本店の地域コンサルタントが参加しやすいよう、1000万円以下の業務を目安に、参加要件で整備局の成績点や表彰実績を問わない技術力評価チャレンジ型を試行する。
 工事の主な基準改定は▽河川・道路維持工事の実績評価▽河川維持管理における資格制度の活用▽技術提案書作成の改訂──の3つ。
 維持工事の実績評価は、施工能力評価型I・II型の一般土木工事を対象に、企業の能力等の評価項目のうち、地域精通度・貢献度に「河川・道路維持工事の施工実績の有無」を加え、実績があれば1点を加点する考え。
 基準改訂の目的は、災害対応や除雪、インフラの維持管理などを担う地域建設企業が減少しているため、維持事業が将来にわたって持続できるよう担い手を確保すること。
 河川維持管理における資格制度の活用は、「河川維持管理技術者」と「河川点検士」の資格制度が創設され、昨年2月に国土交通省の登録資格にもなったことから、19年度以降に発注する河川維持工事(施工能力評価型I・II型)で、これらの資格保有者を配置した場合、加点評価する。現段階の案では、技術者の能力等で2点を加点する。
 なお、河川維持管理技術者と河川点検士の資格は、一般財団法人の河川技術者教育振興機構が付与している。東北6県の資格保有者は、2月時点で河川維持管理技術者が38人、河川点検士が614人となっている。
 技術提案書作成の改訂は、技術提案評価型S型の工事において、これまで提案項目数が5つを基本としていたが、工事の規模や難易度に応じて項目数を3~5つで選択可能とする。技術提案の内容が限られ求めづらい傾向にある工種は、技術提案を求めず、施工能力評価型での評価を検討する。
 併せて、技術提案内容の詰め込みが多発していることから、様式を見直し、用紙サイズや文字ポイントを変更するとともに、文字数制限を設けるなどして書類作成の負担軽減を図る。

業務は県内本店に間口を広げる

 業務の主な基準改訂は▽「地域の守り手」評価・育成の創設▽河川維持管理における資格制度の活用▽審査手続きの省力化と審査期間の短縮化──の3つ。
 「地域の守り手」評価・育成は、県内本店企業に直轄業務を受注しやすくして経験を積んでもらうため、技術力評価チャレンジ型を試行する。具体的には公募要件で、整備局の成績点や表彰実績を評価せず、代わりに地域貢献を加点評価する。同種・類似業務の実績要件は国・県・市町村を問わない。技術提案による評価で技術力を評価する。
 地域貢献に関しては、東北整備局と災害協定を結んでいる団体に所属していることや、過去10年間に災害協定に基づく活動実績があること、業務箇所の生活圏内に本店があることなどを加点する。
 河川維持管理における資格制度の活用は、河川維持工事と同様、河川定期縦断測量や流量観測などの業務委託に当たり、河川維持管理技術者などを配置した場合、加点評価する。
 審査手続きの省力化は、総合評価とプロポーザルで委託する業務のうち、詳細設計業務、または過去に行った業務内容に類似する業務に限定し、予定管理技術者への技術提案ヒアリングを省略する。これにより、審査期間は14日間の短縮につながると考えている。ただし、業務内容によってはヒアリングする場合もある。
 このほかには、受発注者間の中間打ち合わせでウェブ会議を試行し、業務時間の有効活用や移動コストの削減を図り、働き方改革につなげる。
 工事と業務に関する総合評価の新たな実施方針は、2月28日の総合評価委員会(委員長・田中仁東北大学大学院教授)で有識者らにより審議され、了承された。

総合評価委員会で新たな取り組み方針が審議・了承された

総合評価委員会で新たな取り組み方針が審議・了承された

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