プロポで来月にも公募 乳牛育成牧場跡地の民活(千葉市)

[2019/6/18 千葉版]
 千葉市経済農政局農業生産振興課は、若葉区富田町にある乳牛育成牧場を2020年3月末で廃止し、跡地に民間活力を導入した、集客も可能な施設を整備したい考えでいる。開会中の市議会定例会に提出した補正予算案で「施設解体費および跡地整備費負担金」として、期間を20年度、限度額を1億4,300万円とする債務負担行為を設定する予定でおり、決まり次第、7月にもプロポーザル方式による事業者の公募を開始するとともに、9月にも事業者を決定したい方針だ。

乳牛育成牧場の現況

乳牛育成牧場の現況

 同事業は、農林水産業が推進するなどしている「グリーン・ツーリズム」の一環。農山漁村地域で自然や文化、人々との交流を楽しめる滞在型の余暇活動のことを指し、欧米などで広く普及しているという。

 今回の補正予算案には19年度分として、18年度に実施した土地の履歴調査に基づき、土壌汚染が疑われる区域30カ所を対象とした土壌汚染調査の委託料400万円と、プロポーザル選定委員会の有識者による意見聴取の報償費として8万円の計408万円を計上している。

 また、債務負担行為の内訳は、既存全施設の解体費として1億2,100万円、地下水を引用可能なものとするため、ろ過装置と滅菌機を4基設置するための経費2,200万円を、それぞれ市が負担する基礎インフラ経費として見込んでいる。

 スケジュールをみると、7月の事業者公募開始に並行して、土壌汚染の概況調査にも着手。9月からそれ以降の事業者の決定と基本協定の締結を予定する。

 20年3月末での牧場廃止の翌4月からは、既存施設の解体工事が始まり、10月をめどに新築工事が着工し、21年4月の新施設オープンを目指す。

 市はグリーン・ツーリズムの推進に当たり、乳牛育成牧場の環境拠点化を計画。今後の少子高齢化による市内総生産の低下への懸念があるとともに、インバウンドの増加による観光客の増加などで、ここ数年の市内での宿泊客数が急増傾向にあるものの、多くは幕張メッセへの訪問を含むビジネス目的での来訪で、観光目的は2割にも満たないという。

 市内の観光施設の認知度も低いことから市は、新たな観光資源として、老朽化が進んでいるだけでなく、年々受け入れ頭数の減少が続くとともに、伝染病防止などの観点から現在一般の立ち入りを制限している同牧場で実施している乳牛の繁殖事業を継続することは条件に盛り込むものの、預託事業を含めて民間活力を導入した形でグリーン・ツーリズムの一環として「集客の核施設」を整備する方針を固めたという。

 期待できる効果として市は、観光誘客による地域経済の活性化や地域の賑わい創出、グリーンエリアにおけるブランド力、すなわち認知度の向上、民間活力の導入による預託事業運営の効率化を図るとしている。

 市は今回の市議会定例会に、同牧場の管理条例の廃止案も提出。民間事業者には土地を有償で貸し付け、有効活用方法を模索する。

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