トンネル検討をプロポ 国道349号丸森地区で調査(仙台河川国道)

[2019/6/15 宮城版]
 国土交通省仙台河川国道事務所は、国道349号丸森地区の道路改築で、直轄権限代行の検討を進めるため、本年度から直轄調査に着手する。調査業務は「丸森地区地質解析業務」で、14日に簡易公募型プロポーザルの手続きを公告した。21日まで参加表明書、7月16日まで技術提案書を受け付ける。この業務では、道路トンネルの施工方法などを検討する。
 丸森町内の国道349号は、片側を阿武隈川、もう片側を険しい山の地形に囲まれ、厳しい施工条件が想定されている。阿武隈川は同町大張地区から福島県境までの延長約6km区間が狭さく部となっており、これまで増水による国道349号の冠水被害がたびたび発生している。
 山側はもろい地質で、落石や土砂崩れが起こりやすく、豪雨による通行規制も発生。このため、県と丸森町は、高度な施工技術が必要でトンネル化が検討されている延長4km区間について、国による直轄調査の実施を要望してきた。
 県はこれまでにアジア航測(仙台支店・仙台市青葉区)に委託して道路改築に向けた調査を実施したほか、県道路防災対策検討協議会・国道349号丸森地区(座長・飛田善雄東北学院大学教授)を設置し、仙台河川国道事務所も交えて検討を進めてきた。
 本年度は、道路改築に向けた地質調査業務を日本工営(仙台支店・仙台市青葉区)に委託。さらに道路予備設計業務の一般競争入札を5月30日に開札し、10社が応札したものの、低入札価格調査に移行しており、落札決定を保留している。
 この道路予備設計業務では、県が延長4km区間の直轄権限代行に向けた検討に必要な基礎データを整える。具体的には現道の付け替えルートなどを検討する。業務の履行期間は2020年3月31日まで。
 仙台河川国道事務所では、県の基礎データを基に、「丸森地区地質解析業務」で対象区間周辺の地質状況を調査・把握し、トンネル施工について検討する。その上で、直轄権限代行の必要性や範囲を見極める。同業務の履行期間は20年2月14日まで。
 プロポの参加資格は、東北地方整備局から土木関係建設コンサルタント業務の資格認定を受けている単体企業、または同業務か地質調査業務の資格認定を受けている設計JV。
 プロポで技術提案を求める評価テーマは▽破砕帯の分布が想定されるトンネル設計における技術的課題を把握し、安全で経済的な施工計画を立案する上での留意点▽周辺環境を考慮したトンネル施工計画を検討する上での着眼点──となっている。
 国道349号は、茨城県水戸市を起点に、福島県の阿武隈山系を縦断しながら柴田町までに至る全長260kmの幹線道路。未改良区間は丸森町大張り川張(川張2号トンネル)~福島県境(耕野地区)の延長5.8kmと、福島県側の延長2.4km。現況幅員は3.5~5m。

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