野村宗作局長インタビュー インフラ維持管理に注力 建設業の発展へ魅力発信(千葉県企業局)
県企業局長に就任した野村宗作氏が、本紙インタビューに応じ、埼玉県八潮市で発生した下水道管の老朽化に伴う道路陥没事故なども踏まえ、県営水道などインフラの維持管理に注力すると抱負を語った。併せて、建設業の魅力を発信し、持続的に発展していけるよう取り組んでいく考えを示した。
──どんな仕事に取り組んできた。
「企業局の前身となる企業庁に6年間在籍し、幕張新都心の造成など基盤整備に携わってきた。県庁では財政部門や内部管理部門が長く、コロナ禍では、商工労働部の担当部長として経済産業省などと連携し、企業の支援や飲食店の営業時間制限、認証店の基準など仕組みづくりに取り組んできた」
──就任の抱負を。
「企業局では、水道、工業用水道、造成土地管理の3つの事業を所管しており、県民生活や経済活動の基盤となるインフラを担当している。埼玉県八潮市で発生した下水道管の老朽化に伴う道路陥没事故や能登半島地震などを踏まえ、インフラの適切な維持管理に注力していきたい」
──県企業局の抱える課題とは。
「水道事業については、事業区域を拡大するフェーズから、事業が熟成したフェーズに移行していると思う。安全で安定した給水を継続することが最大の課題だ。地震や台風など災害や事故が発生した場合、県民の生活に与える影響を最小限にとどめる必要がある」
──重点的に進めたいことは。
「日ごろの点検やメンテナンスにしっかり取り組んでいきたい。管路の老朽化対策については、職員と知恵を出し合いながら、限られた予算の中で、更新を着実に進めていかなければならない」
「インフラ整備の取組について県民にもっと関心を持っていただけるよう発信していく。インフラの維持に必要な水道料金の見直しなどについても積極的に情報を発信していきたい」
──災害対策にどう取り組む。
「災害はいつ来るか分からない。大地震や豪雨など災害が発生した場合、被害をゼロにすることはできないため、インフラの更新や耐震化に併せて、被災した場合のさまざまなシミュレーションをしておく必要がある。日ごろの訓練などソフト対策にも力を入れていきたい」
──水道用水供給事業の統合について。
「来年4月に九十九里・南房総地域の水道用水供給事業体を統合し、県企業局が経営することになる。技術的なノウハウや人材育成の面で、統合してよかったと思ってもらえるよう、しっかり準備を進めていく。また、現場と企業局が地理的に離れているので、協力体制を整えていきたい」
──新庁舎建設の進ちょくは。
「県庁近くで進められている建設工事が本格化しており、来年に完成する予定だ。企業局が移転し、機能を集約することにより、県庁との連携がさらに強化されることになる」
──建設業界との連携について。
「災害や漏水事故などが発生した場合、建設業界の皆さんには全面的に協力していただいている。これからも良い関係を築いていきたい」
「これからインフラ全体の老朽化が進み、更新や耐震化の事業量が増えていくことになる。建設業界でも人手不足が大きな課題だ。業界と行政が連携して、建設業の魅力を発信しながら、県全体が持続的に発展していけるよう取り組んでいく」
■プロフィル
のむら・そうさく
1965年9月生まれの59歳。千葉市花見川区の出身。1989年3月に中央大学法学部法律学科卒業後、県庁に入庁し、企業庁や総務部財政課などでの勤務を経て、地域産業推進・観光担当部長や政策調整・観光担当部長、商工労働部長などを歴任し、4月から現職。与えられた仕事をしっかりやることが信条。趣味はサイクリング。