伊藤寛倫理事の就任インタビュー 港湾の成長戦略に意欲 持続可能な建設業界へ(千葉県県土整備部)

伊藤県土整備部理事

伊藤県土整備部理事

[2025/11/7 千葉版]
 千葉県県土整備部の理事に就任した伊藤寛倫氏が本紙のインタビューに応じ、「新湾岸道路や成田空港第2の開港プロジェクトなどのインフラ関係の動きと連携した港湾の成長戦略を描いていきたい」と意気込みを語った。災害対応など、建設業が地域の守り手としての役割を果たすため、持続可能な業界になる必要性を訴えた。

 ──どんな仕事に取り組んできた。

 「国交省では、主に港湾関係の仕事に携わってきた。国交省以外では、東日本大震災の発災後、内閣府で災害対策基本法の改正などに取り組んだことや、コンテナ取扱量世界一の中国で上海総領事館領事として赴任したことなどが思い出深い」

 ──千葉県との関わりや印象は。

 「上海から帰国した後、10年近く流山に住んでいる。千葉県民として、千葉県のために働けることがとてもうれしい。都心へのアクセス性が優れ、子どもを連れていける公園が充実していて、とても住みやすい」

 ──理事として何に取り組む。

 「港湾管理者としての立場は初めてなので、現場の実態を学びながら、港湾の整備・管理全般に取り組んでいく。県内には国際拠点港湾の千葉港、重要港湾の木更津港、地方港湾の館山港や名洗港など、7つの港湾がある。例えば千葉港では埋め立てを含む埠頭再編が進められており、各港のプロジェクトにおいて国交省での経験を生かしたテコ入れが期待されていると思う」

 ──重点的に取り組みたいことは。

 「新湾岸道路の検討や成田空港第2の開港プロジェクトなど、港湾以外の県内インフラにダイナミックな動きがある。これらの効果をしっかり取り込んで相乗効果を発揮できるような、港湾の成長戦略を描いていきたい」

 「成田空港周辺では物流機能が大幅に強化されることになる。東南アジアと北米の間などを念頭に、海上輸送と航空輸送を組み合わせる“シーアンドエア”のニーズがあれば、取り入れるもの選択肢の一つだ」

 「千葉港ではポートセールスにも力を入れていく。トラックドライバーの需給ひっ迫を背景に、千葉港と関西などとの間の海上輸送ニーズが高まっている。このような需要をしっかり掘り起こし、千葉港の利用促進につなげていきたい」

 ──事業者が撤退した銚子市沖洋上風力発電事業のメンテナンス拠点となる名洗港の整備について。

 「国も早期の再公募に向けた事業環境の整備について検討しており、新たな事業者が選定されれば、メンテナンス拠点として、名洗港を利用する見込みが高いと思う。今後、さまざまな調整が必要となるが、引き続き施設整備を進めていく」

 ──建設業界に一言。

 「建設業はインフラの整備や災害対応などに尽力していただいており、欠くことのできない存在。災害発生時、港湾は緊急物資の輸送拠点となるため、航路啓開が必要となる。建設業の皆さんには代替できない専門性の高い役割を果たしていただいている」

 「建設業界では担い手不足や働き方改革など、さまざまな課題を抱えている。その解決につながるような提案があれば、ぜひ聞かせてほしい。真摯に受け止め、持続可能な形で業界が発展できるように努めていきたい」

 ■プロフィル

 いとう・ひろのり

 1979年2月生まれの46歳。富山県上市町出身。東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻修了後、国交省に入省。内閣府の防災担当、外務省の上海総領事館領事、内閣官房の東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局参事官補佐、本省の港湾局企画調整官などを歴任し、7月から現職。好きな言葉は母校の校訓「慎重敢為」。四童子隆県土整備部長の勧めで囲碁を始めたという。

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