激甚災害の早期指定へ 本県被災地を視察し決意(赤羽国交省)

[2019/10/16 宮城版]

村井知事(左から2人目)から要望書を受け取る赤羽国交相

村井知事(左から2人目)から要望書を受け取る赤羽国交相

 赤羽一嘉国交相は14日、台風19号で被害を受けた本県の被災地を視察した。最初に県庁を訪れた赤羽国交相は、村井嘉浩知事から激甚災害の早期指定など3点の要望を受けた。その後、大郷町で吉田川の堤防決壊箇所を視察。被災状況を確かめた上で、「激甚災害の早期指定に向けがんばりたい」と決意を述べた。
 当日は県庁で第4回県災害対策本部会議が開かれ、そこを訪れた赤羽一嘉国交相に対し、村井知事が[1]排水ポンプ車などによる排水支援と、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)などによる技術的支援[2]災害復旧事業の早期実施[3]激甚災害の早期指定と地方財政措置──の3点を要望した。
 このうち、災害復旧事業の早期実施について村井知事は「被災箇所が多いことから、東日本大震災と同様に、机上査定で行う要件を緩和するなど柔軟な運用や手続きの簡素化をぜひ図ってほしい」と要望。さらに、災害査定に要する測量・調査・設計等の費用について、地元負担の軽減を求めた。
 激甚災害の指定は、「速やかに行い、災害対応に係る本県と市町村の特別な財政需要の増大に対し、特別交付税による財源措置等を講じてほしい」と要望した。
 赤羽国交相は、今回の台風被害について、「国管理の河川だけでも(全国で)11カ所が破堤するという大変未曽有の災害」との見解を示し、政府が13日に非常災害対策本部を立ち上げたことに伴い、国交省としても「地元の皆さんに寄り添いながら被災者の思いが叶う復旧・復興に全力を挙げる」ことを誓った。
 村井知事からの要望のうち、排水支援は14日から排水ポンプ車が200台体制で排水処理に当たっていることを報告。東北地方整備局でも15日から70台体制で排水作業に当たることとなった。TEC-FORCEはリエゾンを含め全国で延べ400人を超える隊員が被災自治体に派遣されていることを紹介し、「応急工事や復旧・復興に向けての技術的支援を行いたい」とした。
 災害復旧事業の早期実施に関しては、「災害査定や災害復旧事業の早期着手に特段の配慮を取ってほしいとのことなので、被災自治体の負担にならないよう、地元が復旧・復興に向けてやりやすいよう特段の配慮を行うべくしっかり政府に伝えたい」と答えた。
 激甚災害の早期指定と地方財源措置については、「激甚災害はもともと、損害額の積算をしてからということだが、これほど大きな災害なので、地元の皆さんが財源に不安のないよう、しっかりと復旧・復興に専念できるよう、激甚災害の早期指定に向けてがんばりたい」と力を込めた。
 今後に関しては「現場をしっかり見ながら、皆さんの声を受け止めて、適時・適切な対応をしていく」と話すとともに、「被災自治体の要望については、派遣しているリエゾンやホットラインを通じてきめ細かく要望を把握しながら、関係省庁ともしっかり連携を取って、スピード感を持って復旧・復興に全力をあげたい」と決意表明した。
 

吉田川は27日までに緊急復旧完了へ

 赤羽国交相が視察した吉田川の堤防決壊箇所は、大郷町粕川地区の左岸側で延長約100m区間。13日に緊急復旧工事に着手しており、岩ズリを置いている段階。これから堤防前面に矢板を打ち込み、土砂を入れて27日までに緊急復旧を完了させる見通し。
 緊急復旧工事は、災害協定に基づいて県建設業協会に要請し、佐藤工務店(加美町)、丸か建設(同)、熱海建設(仙台市青葉区)、深松組(同)、武山興業(石巻市)の5社が元請で行うことになった。
 吉田川について赤羽国交相は「昭和61年にも大変な洪水被害があり、平成27年度もそのような状況だったと思う。構造的にも難しいと承知しており、それなりの対応もしていたが、今回の台風19号を受け再発防止ができるよう、しっかりした対応をしなければならない」と語った。

吉田川の堤防決壊箇所(大郷町粕川地区)

吉田川の堤防決壊箇所(大郷町粕川地区)

緊急復旧に向かう工事車両

緊急復旧に向かう工事車両

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