CCUSの運用を見学 普及促進へ/大成建設が現場公開(東北整備局と日建連)

[2019/11/12 宮城版]
 東北地方整備局と日本建設業連合会東北支部(平田尚久支部長)は8日、建設キャリアアップシステム(CCUS)の運用現場見学会を初めて開催した。仙台市泉区で民間開発の宅地造成工事を施工している大成建設東北支店が、現場で運用しているCCUSの実演を行い、参加者がCCUSへの理解を深めた。
 CCUSは、技能者にICカードを配布し、それを登録現場のカードリーダーにかざしてもらうことで、就業履歴や保有資格などの技能者情報を蓄積する仕組み。蓄積された情報は業界が横断的に活用し、技能者が能力や経験に見合った処遇を受けられるようにする。

 国土交通省は本年4月にCCUSの本格運用を開始した。登録目標数は初年度で100万人、5年後に全ての技能者(約330万人)としている。
 10月末時点の登録数は、全国で見ると事業者が2万5340社、技能者が13万4455人。東北に限って見ると、事業者が1838社、技能者が1万4626人の登録状況となっている。
 8日のCCUS運用現場見学会は、東北地区で初開催となり、大手ゼネコン企業やその他の建設企業、東北地方整備局の職員など約50人が参加。大成建設が泉パークタウンで進めている泉PT第6住区東工区開発計画造成工事(仮称)の現場を訪れ、CCUSの運用状況を学んだ。
 この工事は、開発面積が約48㏊で、721区画の戸建宅地を設けている。工期は2018年11月1日~21年10月29日。発注者は、三菱地所、パナソニックホームズ、関電不動産開発。
 見学会のあいさつで東北地方整備局の二橋宏樹建政部長は、造成工事の発注者や大成建設、日建連の協力を得て見学会が開催できたことを感謝した上で、CCUSにまだなじみのない事業者もいるため、「実際にシステムを見て、触ってもらい、システムの実際の運用・機能などを体験してもらいたい」と述べた。

二橋建政部長

二橋建政部長

 大成建設東北支店の三谷弘則土木部長は、同社がCCUSの推進を最重要テーマに掲げ、4月から全国の作業所でCCUSを本格運用し始め、事業者へ説明会の開催や、本社に技能者ID取得支援チームを設置するなどして、CCUSの定着に努めていることを紹介した。
 同社によると、今回の現場では46人の作業員が在籍し、現時点で約70%に当たる32人がカードを保有している。協力会社の下請企業にも登録してもらっている。今後は月1回の災害防止協議会を利用してさらなる取得を促し、全作業員の取得完了を目指すそうだ。 
 説明会では、スクリーンを使ってCCUSの操作方法や登録情報の検索方法などを紹介。その後、作業員がICカードをカードリーダーにかざす実演を行った。
 一次下請でICカードを使用している水谷建設の鈴木直氏は「資格情報を登録できるので、更新時期が近づいたら入力時に知らせてくれる機能が付いたら便利」と語るとともに、「就業履歴が蓄積されるので、長く従事された人が妥当に評価されるような仕組みにしてほしい」と期待した。
 説明会の参加者からは、就業履歴の蓄積データを基に建退共や作業員名簿に活用できるのかといった質問が上がった。CCUSの運用主体である建設業振興基金は、この質問に対し、就業履歴はCSVによる出力が可能で、その他のものも今月中にできるようにしたいと報告。施工体制台帳や作業員名簿などは帳票出力に向けた作業中で「間もなく出力できるようになる」と回答。建退共は「早ければ来年秋からソフトを使って申請できる」と答えた。
 説明会に参加した銭高組東北支店の廣谷俊二土木部長は「実際にやってみないと分からないが、思ったより操作が簡単に感じた。会社では東京や大阪でCCUSを運用しており、近く東北でも運用になると思う。しっかり対応したい」と話した。

画面上でCCUSの操作方法などを学んだ

画面上でCCUSの操作方法などを学んだ

ICカードをカードリーダーにかざす作業員

ICカードをカードリーダーにかざす作業員

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