「とちぎ」の力、復旧へ結集 山河を再生し故郷を守る公共事業

[2020/01/01 栃木版]
 昨年10月の台風19号被害は、県全域に及んだ。集中豪雨による河川の氾濫や土石流被害は、家屋を飲み込み、人命を奪い生活を一変させた。佐野の秋山川、栃木の永野川で堤防が決壊、濁流は鉄道の軌道を流し去り、人家にまで押し寄せ家屋は半壊・全壊した。

 毛細血管のように入り組んだ県土の渓流・河川網は大雨に抗いきれず、破堤を呼び込み、27年9月関東・東北豪雨で郷土の山河は崩壊、今回の台風でも繰り返された。

 バブルの高景気で幕を開けた平成も、5月の天皇の即位により31年目にして幕を閉じた。令和の到来とともに、時代の節目を感じさせる2020年に何を望み、どう行動していくのか。

 東京オリンピック・パラリンピックに沸く20年、その2年後に開く本県での国民体育大会・全国障害者スポーツ大会。オリンピックは東日本大震災から、国体は台風被害からの復興を印象付ける大会が命題となった。

 県は新年度、「とちぎ創生15戦略」に続く県政運営を始める。輝かしい未来への扉を開くためにも、台風禍からの復旧・復興に全力を挙げ、今一度、県土強靭化を達成していかなければならない。

 安全と安心を担保する河川・砂防事業。毎日の通勤や公共交通機関の利便性を支える道路整備。災害からの復興に向け、総力を結集する年。堤防の決壊を約1週間で応急復旧した建設業の力。1128カ所の公共土木施設における災害査定には、測量設計コンサルの汗と苦闘が滲む。

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 上の写真(県建設業協会提供)は、矢板市の一級河川中川の上太田橋における復旧活動。県建設業協会は大型土のう製作機を全支部に配備し災害に備えた。右下の写真は、大田原市の一級河川蛇尾川で実施された災害査定。農林施設や公共土木施設を合わせると県内被災箇所は5000カ所を超え、新年からは本復旧工事が始まる。左下の写真は、総合スポーツゾーン新武道館。県マロニエ建築賞を受賞した同施設は、設計から施工まで県内業者が担当した。

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