市町の前払保証導入状況 40%定着も13市町は限度額 下野が撤廃、野木4月から

[2020/5/13 栃木版]

 公共工事における建設業の資金繰りを円滑にする前払保証制度で、野木町が4月1日から500万円以上に適用を始めたほか、下野市は限度額を撤廃した。国交省をはじめ全国の自治体の7割以上が「支出割合一律40%・支払限度額なし」を導入しているのに対し、本県は25市町のうち13市町が限度額を設定していることが分かった。東日本建設業保証栃木支店がまとめたもので、業務委託では大田原市と那須塩原市が制度未導入となっている。国交省は新型コロナウイルスへの対応として公共工事の一時中止等に伴い、資金繰りに支障が生じることがないよう▽中間前金払いの迅速・円滑な実施▽出来高部分払いの請求があった場合の適切な対応-について通知している。 =2面に長田正栃木支店長インタビュー

 前払保証制度は、国や地方公共団体などが発注した工事の円滑で適正な施工を支援するため、当初に工事代金の40%を上限に受注業者に前払い金を支払うもの。本県では全市町が導入しているものの、13市町が支出限度額を設定しているほか、塩谷、高根沢、那珂川の3町については、請負額に応じて前払い率を設定しており、40%は高根沢が1億円以下、塩谷と那珂川は3億円以下。建設工事で限度額を設定しているのは、栃木、佐野、鹿沼、大田原、那須塩原、那須烏山、茂木、市貝、壬生、野木、塩谷、高根沢、那珂川の13市町。

 また、地方自治法で前金払いは、請負額50万円以上から支出できるとされているが、50万円以上は宇都宮と鹿沼、130万円以上が佐野、矢板、那須塩原、130万円超は足利の計6市となっており、300万円以上が9市町、500万円以上も12市町あり、大半は制限を設けている。

 総務省と国交省は2016年10月、「公共工事の円滑な施工確保について」とする文書をまとめ、各都道府県知事宛に通達した。市区町村や契約担当への周知を図ったもので、この中には建設業者の資金調達円滑化のための取組みが示され、▽未導入自治体に対し前払い金・中間前払い金の早急な導入を図ること▽前金払い制度の更なる活用と支払限度額の見直し▽中間前金払い制度の手続きの簡素化と迅速化▽工事請負代金の支払い手続きの迅速化に努めること-などとしている。

 中間前払保証制度は、当初の前払い金40%に加え、工期半ばで20%を追加して払う前金払い制度。工事を円滑に行う上で、施工業者の資金繰りに有効とされ、国交省は17年3月、制度導入と適切な運用等を明記した「公共工事の前金払及びその特例の取扱いについて」とする文書を各都道府県と政令指定都市の主管部局長宛に通知、周知を図った。

 今年3月11日には国交省が、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、公共工事の一時中止に伴う資金繰りに支障が生じないよう、中間前金払いの迅速かつ円滑な実施、出来高部分払いの請求があった場合の適切な対応を通知。加えて、元請けが部分払い(出来高払い)や完成払いを受けた場合について、下請けへの適正な支払いや、下請けセーフティネット債務保証事業、下請債権保全支援事業等の金融支援事業の活用による下請けへの支払いの適正化に配慮する旨通知している。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.