スマートIC5カ所で事業 足利西は研究会継続

[2020/5/19 栃木版]
 県内のスマートIC整備が本格化している。東北自動車道の都賀西方(栃木市)、大谷(宇都宮市)、矢板北(矢板市)3カ所で進入路の工事や用地買収の進ちょくを図っているほか、北関東自動車道では出流原(佐野市)が用地買収、下野(下野市)は役割分担を明確化し用地買収に着手する。構想段階にあるものの、北関東道では足利と桐生太田IC間に足利西(足利市)のダイレクトインター整備に向け、勉強会を立ち上げ、整備手法など具体化に向け検討。このほかPAを利用した壬生(壬生町)が設置効果などを検討している。

 スマートICは、高速道路のSAやPA、バスストップなどから直接乗り降りができるETC専用のIC。SAやPAなどの道路付帯施設がない場合は、本線に直接乗り入れるダイレクトインターがある。

 利用車両が限定されているため、道路構造や料金所が通常のICに比べ簡易で、料金徴収員の配置も不要なことから従来のICに比べて低コストで設置できるメリットがある。

 日本のIC間の平均的な間隔は約10km。国は平地部において、欧米並みの約5km程度に改善することを目的にスマートICの制度を創設した。ICにおける高速道路区域内の道路本体とアクセス道路から分岐する進入路、ETC設備等の道路付属物が補助対象で、国は整備費用の2分の1を補助する。

 本県では東北自動車道の上河内、那須高原、佐野の3カ所のSAが先行してスマートICを整備してきた。現在は5カ所で事業化になり、供用に向け整備を進めている。

 スマートICの整備に当たっては、地方自治体等において国やネクスコと相談しながら、ICの必要性や周辺道路の概況、整備方針の確認など広域的検討を行う勉強会・研究会レベルを経て、準備会に移行する。

 準備会では、概略検討としてICの社会的便益や利用交通量、設置位置と構造、周辺道路の整備計画を作成。ICと周辺施設の詳細設計や整備費用の負担区分、管理・運営方法など詳細検討に備える。概略・詳細検討段階で国が設置の必要性等を確認、箇所を選定し準備段階調査を直轄で行う。

 その後、準備会での検討や直轄調査を踏まえ、国や県・県警、設置市町村、ネクスコで構成する地区協議会を組織するとともに、実施計画書を策定し、国に提出する。国は計画書を基に新規事業化を決め、整備計画を決定、地方公共団体に連結許可書を通達する。

 事業中の5カ所は、大谷が15年、矢板北と都賀西方が16年、出流原は17年、下野は18年のいずれも夏に連結許可が国から出された。

 大谷は18年度末に主要地方道宇都宮今市線から分岐して東北道にアクセスする市道2路線が都市計画決定された。料金所を挟んで高速道路内がネクスコ、県道から料金所までは市が施工する計画。測量設計は完了しており、現在は用地買収を進めている。県はスマートICの整備に合わせ同県道を新たに西に200m拡幅延伸した。

 矢板北は矢板北PAへの接続型で、一般県道県民の森矢板線をアクセス路に上下2路線を新設する。県道は拡幅改良に伴い2カ所の橋梁架け替えを含む工事を進めており、新設の市道についても一級河川中川の橋梁工事をはじめ、今年度は舗装工事等最終段階にある。

 都賀西方もPA接続型で、293号から分岐し進入路を整備する。工事は19年度から着手しており、市施工分もネクスコが執行する。県は交差点2カ所の新設に伴い、国道に右折レーンなどを設置する改良工事を実施する。

 出流原ICは用地買収に着手。市は埋蔵文化財調査、工事はネクスコに委任する。県はアクセス路の一般県道山形寺岡線から分岐する交差点の改良工事を実施する。

 下野は北関東道に直接乗り入れるダイレクトインター。測量調査を進め今年度から用地買収に着手する見通し。進入路の工事はネクスコに委託し、市は周辺の関連道路を整備する。ICは文教通りから西側に設置され、県は高速道路の両側の側道区間の主要地方道羽生田上蒲生線の影響区間を振替える工事を実施する。

 足利西は、スマートIC設置に向けた熟度を背景に、市議会に研究会が組織された。19年2月の県議会一般質問で、当時の江連隆信県土整備部長は、18年7月に国交省主催のスマートIC相談会への参加を報告するとともに、支援方法として国とネクスコなどとの間に入り、設置に向け調整を進めていくなどの支援策を示した。

 足利市は18年3月に策定した都市計画マスタープランにスマートICの検討を明記したほか、3次救急医療機関の足利赤十字病院などの設置要望を受け、市議会議員による足利西スマートIC研究会を組織、山下町地内を候補地に検討を進めている。

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