地元企業の受注拡大を 一宮川で浸水対策工事(県土整備常任委)

[2021/7/8 千葉版]
 県議会の県土整備常任委員会が7日開かれ、県土整備部関連の補正予算案や契約締結議案など9議案について審議した。甚大な浸水被害を受けた一宮川で実施する河川激甚災害対策特別緊急工事(護岸工)2件の契約締結議案について質問が集中し、委員からは地元建設企業の受注拡大を求める意見が相次いだ。

 県河川整備課は、茂原市街地での大規模土木工事となるため、地域への影響を配慮し、土砂の搬出ルートや工期などを検討した結果、2工区に分割したことを説明したほか、土砂の掘削量が各工事で10万立方m規模になる見通しを示した。

 委員からは「災害時に地域の守り手となるのは地元建設業。今後の工事発注では、地元建設企業の受注拡大を検討してほしい」と求める意見が相次いだ。

 この工事は、河川激甚災害対策特別緊急事業の初弾工事となるもので、一宮川中流域で護岸法立工事を進めていく。土砂を掘削した後、現場打ちコンクリート工法により、擁壁護岸を整備するほか、鋼矢板を打ち込む計画だ。

 延長は、「その1」が鶴枝川合流点付近から阿久川合流付近までの延長2020m、「その2」が阿久川合流付近から豊田川合流点付近までの延長2040m。

 2件とも一般競争入札の総合評価落札方式で選定した清水建設(千葉支店・千葉市中央区)と幸和建設興業(松戸市)の特定建設工事共同企業体(JV)と契約を締結する方針。契約金額は順に31億9876万9200円、27億0089万6000円となっている。

安全対策に全力 河南部長

 委員会の冒頭、河南正幸県土整備部長は、6月28日に八街市内で発生した小学生の交通死亡事故を受け、7月1日に歩道の整備やガードレールなど防護柵の設置に対する財政支援強化などを含めた要望書を国へ提出したことを報告。

 教育委員会や警察と連携して、小学校の通学路の緊急一斉点検を実施し、悲惨な交通事故をなくすため、子どもたちや歩行者を守る安全対策に全力で取り組んでいく考えを示した。

 7月1日の朝から県内の広い地域で、雨が降り続き、大雨・洪水警報、土砂災害警戒情報の発表を受け、県は災害即応体制をとり、情報収集と被害対応にあたった。

 県管理の河川や海岸堤防で法面崩落が4カ所で発生し、県管理道路では通行止めや片側通行など規制を伴う法面崩落や路肩崩落、路面冠水などが18カ所で発生した。

 このほか、地すべり被害も2カ所で発生するなど、複数の被害が確認されたものの、県建設業協会の協力のもと、迅速に応急復旧を実施した。河南部長は、復旧工事が必要な箇所について、速やかに着手する考えを明らかにした。

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