月内にも河道設計 田川の改良復旧 洗堰改築と17橋補強検討

[2021/08/02 栃木版]
 宇都宮市の中心市街地を流れる一級河川田川の改良復旧事業が本格的に始まる。本庁発注の調節池2基の詳細設計に続き、県宇都宮土木事務所が月内にも掘削に伴う河道詳細設計を発注する見通しとなった。同事務所によると、改修6.5㎞区間には堰1基(洗堰)と橋梁17基があり、50㌢程度の掘削により改築や補強などの必要性を検討していく。田川は2月補正予算と合わせ、本年度10億円の予算が配分されている。
 田川の改良復旧の事業区間は、上流側岩曽調節池を計画する山田川合流部から、下流の川田調節池までの延長6.5㎞。河道の詳細設計では、事業区間内にある洗堰の改築の必要性を検討するほか、17橋の根入れの状況を確認し、補強の必要な橋梁を抽出する。そこで改築や補強対策が必要と判断した構造物を対象に、工法を検討する詳細設計を発注する予定だ。
 洗堰は、主要地方道宇都宮笠間線(通称・大通り)宮の橋の下流側に位置する。鋼製トルクチューブ構造転倒ゲートで、径間は14㍍×2門、有効高2.08㍍。設置年度は不明だが、同地の田川は1990年代に古くなった堰の改築を行っており、30年程度経過していると見込まれる。また、13年度には再塗装などの補修工事を実施している。
 橋梁は上流側から、大曽橋(県道宇都宮那須烏山線)、錦橋(市道)、大錦橋(同)、大泉橋(同)、東橋(県道宇都宮向田線)、幸橋(市道)、宮の橋(県道宇都宮笠間線)、押切橋(市道)、洗橋(同)、城東橋(同)、簗瀬橋(同)、簗瀬大橋(県道宇都宮結城線)、金井田橋(市道)、旭陵橋(同)、JR橋梁(宇都宮・日光線)、新田川橋(国道4号)、田川大橋(市道)―の17橋ある。
 調節池は岩曽調節池が約18.5㌶に容量24.3万立方㍍、川田調節池が16.6㌶に33.6万立方㍍を計画。岩曽調節池は、山田川合流部左岸に越流堤を確保し、水位上昇に応じて調節池に貯留する。川田調節池は給分頭首工上流付近で、左岸に越流堤を設置し、水位上昇に応じて貯留する。諸元や施工スケジュールを検討する詳細設計は、建設技術研究所(東京都中央区)が担当している。
 両調節池とも、用地を取得して整備を計画している。掘削に当たっては、掘削場所の多自然川づくりに努め、掘削深は田川と同程度とする。また、市街地に隣接して整備することから、調節機能のほかにも地域の特性と整合を図った施設とするため、地域住民とともに利用面や環境面に配慮した整備を行う。
 改良復旧区間の計画高水流量は、山田川と合流し釜川放水路や御用川の合流部付近で毎秒640立方㍍、岩曽調節池では50立方㍍をカットする。下流の川田調節池は40立方㍍をカットし、600立方㍍を流す計画。
 想定しているスケジュールは、調節池と河道設計を踏まえ、本年度から用地調査と用地買収に、22年度から調節池の工事に着手し、24年度からは本川6.5㎞にわたり50㌢程度の河道掘削を行って、調節池と河道掘削の25年度の完了を目指す。事業期間は25年度までで、全体事業費には90億円を試算している。

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