市庁舎建替10年以内に 洋上風力発電・地域還元の仕組みを(銚子市・越川信一市長インタビュー)

koshikawasan 2021年4月の市長選挙で再選を果たし、3期目となる市政のかじ取りを託された銚子市の越川信一市長。先の国勢調査でも、人口減少が顕著となり、住民の流出阻止が喫緊の課題である中、第1次・第2次・第3次産業のいずれもが揃う市のポテンシャルに期待を込める。コロナ禍の対応を最優先とした上で、市を元気にするための、その施策を聞いた。

 ――3期目を担うに当たって
 越川市長「2期8年間を振り返ると、財政再建が最大の課題であり、対策を続けています。初就任時(13年5月)の市の財政調整基金はほぼゼロだった上、多額の起債が財政を圧迫している状態でした。このため、財政危機宣言を発出するなどして、市民の方々にもご協力をいただきながら、財政再建を進めました。
 厳しい状況は続いていますが、基金は約3億8000万円に回復し、決算の黒字の一部も積み増す予定であるとともに、起債残高も3分の2ほどに減りました。一方で、安定した財政運営には15億円ほどの貯金が必要であり、もうひと頑張りして財政の健全化を図るつもりです」
 ――促進区域に指定された洋上風力発電について
 「大型の風車が海上に30基以上並ぶ計画で、事業者については11月にも決定する見込みです。市の税収増もそうですが、地域還元へ工事期間中、また稼働後もメンテナンスなどで地元業者が参加できるようお願いしています。
 併せて、第3セクターで電力会社を立ち上げました。地元で発電された再生可能エネルギーを、地元に販売し、利益を還元する公共色の強いもので、これからの時代に合った仕組みづくりが大きなビジョンとしてあります」
 ――やむなく先送りしてきたという公共事業は
 「これまでは『手が出せない』状況でしたが、道筋づくりは必要です。懸案の市庁舎は、早急の対応は難しいものの、暫定的な倒壊防止策として『SRF工法』による補強を施した上で、10年程度の間には、建て替え事業を進めなければと思っています。
 財政的な裏付けは必要ですが、最も低いIs値(構造耐震指標)が0・13という状態で、一部が浸水想定区域に入るなど、このまま耐震化しても使い続けるのは難しい状況です。安全性や利便性の兼ね合いもあり、建設場所なども精査していかなければなりません」
 ――骨格編成だった当初予算の、今後の『肉付け補正』については
 「新型コロナウイルス対策は最優先ですが、市体育館のエアコン改修やLED化は年度内に終了する見込みです。また、跡地利用は決まっていませんが、旧清掃センターの解体にも着手します」
 ――学校の統合事業について
 「27年度を目標に、4つの中学校を一つにして、今の銚子中学校の位置に、体育館を除いて校舎を建て替える計画です。現在11ある小学校も、複式学級の発生や維持費用など、適正規模維持に向け、建物の老朽化も見ながら統合を検討する必要があると思います」
 ――市の人口減少に抑える対策について
 「隣の(茨城県)神栖市に比べても地価が高くて空き家も多いなど、優良な住宅の分譲地が比較的少ないことで転出が多くなっています。銚子市はわが国でもトップレベルの漁業や農業など第1次産業を維持していくとともに、醤油製造や水産加工などの第2次産業、コロナで疲弊しているものの、観光・宿泊業などの第3次産業もあり、全ての産業が集まるそうした地域産業の魅力を高めながら働く場を作ることが大切だと思います。
 住みやすい地域づくりへ地域包括ケアや医療介護の連携、子育て支援の充実で『銚子の力』を維持していくことで、その魅力を高めていく考えです。
 公共施設も、今後立地適正化計画を策定して、20年先ごろの将来を見据えて都市機能の集約を考えています。維持管理にお金を使えず、そのために劣化した施設の対応も今後検討していきますし、休止中の文化会館や図書館など、施設の複合化に向けた問題にもしっかり対応していきます」

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