建設業界は大事なパートナー 「遠隔臨場」導入へ準備 (県土整備部災害・建設業担当部長 渡邊浩太郎氏インタビュー)

 県土整備部の災害・建設業担当部長に就任した渡邉浩太郎氏が弊紙のインタビューに応じ、「建設業界は大事なパートナー」と語るとともに、建設分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)につながるものとして、コロナ禍で人と人との接触機会を減らし、現場を管理できる手段として「遠隔臨場」が最適と述べ、準備を進めていく考えを示した。

──就任の抱負を。

 「災害対策では、迅速な応急対応や復旧などがメインとなるが、未然に被害を防止することにも力を入れていく。市町村と連携して、ハザードマップを作成し、避難指示や避難行動に結び付けて、人命を守っていくことをしなければならない」

 「建設業界では、担い手の高齢化や新規入職者の減少、働き方改革、生産性の向上など課題が山積している。建設業界とともに乗り越えていきたい」

 ──激甚化する災害にどう対応する。

 「災害時のパトロールや応急復旧などが円滑に進むように関係機関との連携を強化する。県土整備部は県建設業協会と災害応急協定、出先事務所は各支部と細目協定を締結しており、大規模災害時には広域的な協力体制で対応していく」

 「防災の視点を踏まえて、都市計画を検討していく必要があるだろう。新たな開発を認める地域の中から、災害の危険性が高い地域を除外していくことを考えている。「防災」「都市計画」「都市開発」を一体的に捉え、土地利用を図っていくことが求められている」

 「甚大な浸水被害を受けた一宮川では、県内の先進事例として、地域とともに治水のあり方を考える「流域治水」を踏まえ、安全性を高める方法について情報共有しながら、ハードとソフト一体となった事業に取り組んでいきたい」

 ──工事の平準化の取り組みは。

 「働き方改革の視点からも、債務負担行為を最大限活用して、発注時期や施工時期の平準化を進めていかなければならない。入札・契約制度の改善も進めているが、確実に運用していくことに注力する」

 ──週休2日制適用工事は進んでいる。

 「将来の担い手確保に向けた取り組みとして、2015年度から公共工事の週休2日制適用工事を試行している。今年度は、発注者指定型の発注目標工事を昨年度の約600件から約900件に拡大した。これは対象工事の75%にあたる」

 ──ICT施工や建設分野のDXは。

 「ICT施工は、規模が大きな工事でないと難しく、まだまだ進んでいない状況だ。国は対象工種の拡大や小規模工事への対応、見積の活用などを検討しており、県も検討を本格化していく」

 「DXで測量・設計段階からBIM/CIMの流れをつくるのであれば、コンサル会社と連携しながら検討していく必要がある。コロナ禍で、人と人との接触機会を減らし、現場を管理できる手段として「遠隔臨場」が最適。それがDXにつながるため、準備していきたい」

 ──県内のインフラ整備について。

 「道路関連では、北千葉道路をはじめ、圏央道の効果を波及させるため、銚子連絡道路や長生グリーンラインなどアクセス道路の整備を推進していく。新たな湾岸道路など直轄事業については、支援・協力し、1日も早い事業化を目指したい」

 「地域の課題に対応するため、無電柱化や、八街市の交通事故を踏まえた安全対策工事などにも注力する。産業振興では、千葉港千葉中央地区の埠頭再編事業などを本格化していく」

 ──建設業界に求めることは。

 「インフラの整備には建設業が必要不可欠。日常的にインフラを維持・管理していく上でも、大事なパートナーだ。県建設業協会との意見交換会などで出された要望については、最大限対応していくつもりだ。これからも対等なパートナーとして、情報を共有しながら、さまざまな施策に取り組んでいきたい」

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■プロフィル
わたなべ・こうたろう

市原市八幡出身。1963年生まれの58歳。88年3月に京都大学大学院工学研究科修了後、同年4月に入庁し、真間川改修事務所や都市計画課、県土整備政策課、河川整備課、建設・不動産業課などに配属。2015年度から葛南土木事務所長、17年度から河川環境課長、18年度から県土整備部次長を歴任し、4月27日付で現職。サッカーが趣味で、休日は少年サッカーのコーチを務めている。

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