県住宅課 12月中旬からパブコメ 住宅マスプラ懇談会 第2次素案を協議

[2021/10/27 栃木版]

 県住宅課は25日、県庁で第2回目となる県住宅マスタープラン懇談会(会長・室恵子足利大学教授)を開催した。今回は事務局から県住宅マスタープラン第2次素案を説明して、委員の意見を求めた。今後は県内市町との協議やパブリックコメント、国土交通大臣との協議を経て変更案を取りまとめ、2022年2月の第3回懇談会で承認を受けたあと3月にもマスタープランを決定・公表する。

 県は17年度に策定した住宅マスタープラン(県住生活基本計画)の見直しにあたり、全国計画の変更内容などを踏まえ、従来の県住生活基本計画のほか、関連計画の県高齢者居住安定確保計画や県賃貸住宅供給促進計画を加えた3つの計画で構成する「県住宅マスタープラン」を策定する。

 策定にあたっては、関連団体の代表や学識経験者で懇談会および専門部会を立ち上げて協議を進め、今回が第2回の懇談会となる。議事に先立ち、県住宅課の大橋正之課長は「今回のマスタープラン素案の協議以降は、国との調整や関係機関との調整などの手続きに入る」と説明した。

 その後、事務局から第2次素案を説明。計画期間は21年度から30年度までの10年間とし、今後の社会経済情勢の変化や住生活基本計画(全国計画)の見直しを踏まえ、概ね5年後に見直しを行う。

 マスタープランの構成は、プランの役割や位置付け、本県の住まいの現状や課題などをまとめた第1編と、第2編の県住生活基本計画、第3編の県高齢者居住安定確保計画、第4編の県賃貸住宅供給促進計画からなる。

 このうち第2編の県住生活基本計画では、全国計画に即して施策の展開方向を再構築し「新たな日常」や自然災害の頻発・激甚化、技術革新、SDGsなど社会の変化を踏まえて施策を検討する。

 多様な住宅が供給される市場環境の整備に向けては、高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合を現状値の1.7%から30年度には3%に、民間賃貸住宅のうち一定の断熱性能を有する住宅の割合を同じく18%から36%に、高齢者の居住する住宅のうち一定のバリアフリー性能を有する住宅の割合を41%から75%にそれぞれ引き上げる。

 また住宅循環システムの構築では、認定長期優良住宅のストック数を現状値の2.4万戸から30年度には5.3万戸に、既存住宅の流通戸数の新築を含めた全流通戸数に対するシェアを11%から15%にそれぞれ増やす。

 災害に備えた住環境の形成や被災者の早急な住まいの確保に向けては、新耐震基準の耐震性を有する住宅ストックの比率を現状値の89%から30年度には95%に、市町の取り組みなどで除却などされた管理不全空き家数を2700戸から6000戸に改善する。

 公営住宅の供給目標量は、現在国交省と協議中だが、既存公営住宅などの空き家募集の戸数とそれらの建て替え後の戸数を合計し、前期(21~25年度)で7500戸、全体(21~30年度)で1万5000戸に設定した。

 第3編の県高齢者居住安定確保計画は、施策の展開方向にサービス付き高齢者向け住宅の供給促進とサービスの質の向上、特別養護老人ホームなど施設・居住系サービスの基盤整備、住宅のバリアフリー化の普及・促進などを位置付けた。

 供給目標は、サービス付き高齢者向け住宅が20年度の4730戸から30年度末には7600戸としたほか、特別養護老人ホームの整備数が20年度の1万0852人から23年度末には1万1481人、認知症高齢者グループホームの整備数が同じく2520人から2736人、施設・居住系サービス全体の入所定員数が1万9617人から2万0654人などとした。

 第4編の県賃貸住宅供給促進計画は、住宅・福祉部局が連携し住宅確保要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居への支援に取り組むとともに、空き家を活用した重層的かつ柔軟な住宅セーフティーネット機能の構築を図る。

 設定にあたっては、市町の実情に柔軟に対応できるよう市町村賃貸住宅促進計画を策定することで変更を可能としているため、県計画では標準的な設定とする。登録住宅の供給目標量は、21年から30年度までの期間で1万7000戸とする。

 なお住宅セーフティーネット制度は、2017年の法改正で新たな制度が創設され、空き家や空き室を活用した住宅セーフティーネット機能が強化された。要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度やマッチング・入居支援、および登録住宅の改修・入居への経済的支援を実施していく。

 これらの説明を受けて、委員からは「住まいの公衆衛生、住宅格差は経済格差といった視点で、母子家庭や単身高齢者が入居できるよう福祉との連携を図る必要がある」などの意見が出た。

 住宅マスタープランの見直しはこのあと、11月に地域住宅協議会や住生活支援協議会への意見聴取や県内市町との協議、12月中旬から22年1月中旬にかけてパブリックコメントを実施し、国交大臣との協議を経て2月に第3回懇談会を開催する。そこで変更案に対する委員の意見を踏まえ、3月に次期住宅マスタープランを決定・公表する。

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